ビックリ仰天!中国事情 中国弁護士 譚 婷婷執筆コラム

第12回 頭ごなしの発想をやめよう、物事の本質を見極めよう

ここ最近、二つの事例がありました。
事例1.上海の某投資会社が北京で分公司(日本の支店に相当)を設立する際に、登記機関である北京の市場監督管理局から、「会社名に『投資』という文字があるため、『上海○○投資会社北京分公司』という名称は登録できない、投資という文字を削除しなければならない」という不可解な指示を受けました。調査したところ、この2、3年の間に金融業に関わる詐欺事件が相次いでいるという事情を踏まえて、暫くの間、『投資』という文字での登録を一切禁止するという市場監督管理局の規定があることが判明しました。
事例2.今年の3.15大会にて、人気のある某日本製シリアルが標的となりました。オンライン通販で香港や保税区から輸入・販売された当該シリアルのラベルを確認すると、製造住所が東京都であったり、また、製造工場が栃木県の工場であったりすることから、2011年、国家品質監督検査検疫総局の第44号の通達――「日本から輸入食品農産品の検査検疫監督を強化する公告」の一の「即日 (注1)、日本の福島県、群馬県、栃木県、茨城県、宮城県、山形県、新潟県、長野県、山梨県、埼玉県、東京都、千葉県の12の都県からの食品、食用農産品及び飼料の輸入を禁止する」に違反したことで取り締まられたのです。
確かに、詐欺を防ぐためには登記政策を、また、国民の食品安全を守るためには輸入製品の検査政策を厳しく制定し、厳格に実施する必要があります。もっとも、事前に綿密な事実調査及び実施評価を行わずに、頭ごなしに政策を実施するのが果たしてよいのでしょうか?
例えば、事例1の場合、当該外資投資会社は金融会社ではなく、グループ内の統括業務を主にする会社でした。それにもかかわらず、単に会社名に「投資」という2文字を有しているだけで、支店の設立を一から拒否されるなどということは、通常ありえないと思います。
また、事例2について、当該会社の公式サイトによると、シリアルを製造する原材料は世界各国から厳選されているようです。また、原材料の中でりんご、いちご及びかぼちゃの種はなんと中国から輸入されています。
一般の人々の生活への影響がある行政機関による政策の制定及び実施に当たっては、その影響力の大きさを踏まえて慎重に行ってほしいものです。これらの事例を見ながら、頭ごなしの発想をやめよう、物事の本質を見極めよう、と思いました。


(注1)2011年4月8日。

 

 

2017/4/5

 

*本記事は、中国関連の一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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