知っておこうフィリピン法

第109回 フィリピンにおける仮想通貨の規則

皆さん、こんにちは。Poblacionです。 皆さんはビットコインをはじめとした仮想通貨(VC)についてお詳しいですか?フィリピンでは、VCの人気が高まり、通貨の代わりに使用される機会も増えています。そのため、フィリピン中央銀行(BSP)は最近、VC取引所の管理上の規制である2017年通達第944号を発行しました。その一方でBSPは、いずれのVCも通貨としては認められない、という明確な警告も発しました。VCは、中央銀行が発行するものではなく、実物商品による裏付けもないからです。それでも、VCがマネーロンダリングやテロリストへの資金提供という目的に利用される可能性があることを踏まえ、消費者保護のみならず、国家経済の安定維持という観点からも、VCの規制が必要であるとBSPは認めたのです。

そもそも、VCとは何でしょうか。前記通達の定義によれば、VCとは、VC利用者コミュニティーの中で合意によって作り出され、交換媒体として、あるいは電子的に貯められる価値の一形態として使用される、あらゆる種類のデジタル単位のことです。そのデジタル単位に中央の保管機関又は管理機関があるかどうかは問いません。ただし、BSPの説明によりますと、以下のものはVCとはみなされません。

・電子マネー(あるツール又はデバイスに電子的に貯められた、支払手段として認められている金銭的価値。電子マネーを発行できるのは、BSPに登録されたフィリピンの銀行及び金融機関です。電子マネーの発行については、既にBSPの規制対象になっています。)

・オンラインゲームプラットフォーム内で使用されるデジタル単位であって、不換通貨(すなわち、法定通貨)や現実世界の商品やサービスに交換できないもの(ゲームポイント等)

・貯めた価値を商品又はサービスにのみ払い戻すことができる、特定の商店がかかわるデジタル単位(ポイントプログラム、ポイントカード等)

 

前記通達に基づき、VC取引所(すなわち、VCと不換通貨との交換又は引換えを行う場)の運営を希望する人又は事業体は、以下の規則を遵守しなければなりません。

・VC取引所には、送金会社として活動するためのBSP登録証明の取得が必要である。

・VC取引所は、BSP登録に加え、送金代理店の認定を受けるための申請を行い、資金洗浄防止評議会事務局に登録し、義務研修に参加することが必要である。

・VC取引所は、BSPの定める登録料及び年間手数料を支払う。

・一回の取引で500,000ペソ(約114万円)(又は外国通貨における等価額)を超える高額の払出しを行う場合は、小切手による支払を受けるか、預金口座に直接入金することしかできない(すなわち、現金による高額払出しはできない)。

・VCの運営及びビジネスモデルの複雑さ次第では、VC取引所に適切なリスクマネジメント及び機密管理のための機構を設置し、VCに関連する技術的リスクの対処、管理及び軽減を行う必要がある。

・VC取引所は、技術面の管理に加え、その事業の性質、規模及び複雑性に合わせた内部管理システムを維持する必要がある。

・VC取引所は、必要とされるBSPへの届出及び報告を適時に提出しなければならない。提出物には、VC取引所の財務諸表、VCの総取引高及び総額に関する四半期報告、並びに営業所及びウェブサイトの一覧が含まれる。

 

VC取引所が、上記通達に定められた義務を守らない場合、罰金、制裁及びその他の執行措置が課されることもあります。例えば、BSP登録を受けずにVC取引所を運営した場合、関連する人又は事業体には、50,000ペソから200,000ペソ(約110,000円から450,000円)の罰金及び/又は2年から10年の懲役が科される可能性があります。

今回のBSP通達が扱っているのは、VC取引所の管理上の規制のみであり、VCがかかわる詐欺行為への対処方法等、VC取引に関する具体的規則は定められていません。高まるVCの人気と需要を鑑み、フィリピンの立法機関が今後、VC取引をする個人や事業体の保護を目的とした、VCに関連するより包括的な法律を制定する可能性もあるでしょう。

2017/07/20

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

お問い合わせ