知っておこうフィリピン法

第112回 オンラインゲームを運営したら、フィリピンで事業を行っていることになる?

皆さん、こんにちは。Poblacionです。私は、すぐにゲームに熱中してしまいます。学生だった頃には、コンピュータゲームに夢中になり過ぎて、「The Sims」という子供でも楽しめるゲームや、「Diablo」というゲームなど、様々なゲームで遊んでいるうちに夜が明けてしまった、なんていう思い出もあります(授業はサボっていませんので、ご心配なく!)。大人になってからは、携帯電話アプリゲームで遊ぶようになりました。数年前には、「Candy Crush」というゲームにすっかりはまり、レベル1598まで到達しました!最近の密かな楽しみと言えば、「Pokémon GO」でかわいいポケモンを捕まえたり、ポケジムで他のプレイヤーと戦ったりして遊ぶことです。

インターネット技術が発展したおかげで、ゲームはこれまで以上に進化し、今では、ゲームのコミュニティ内で互いに繋がるようになりました。例えば、日本に拠点を置く会社がオンラインゲーム システムを立ち上げ、フィリピンを含む世界中の国々からプレイヤーがゲームに参加してバーチャルな世界で対戦する、ということも可能です。

これに関連して、興味深い問題がフィリピンの証券取引委員会(SEC)により取り上げられました。具体的には、フィリピンにいるユーザがアクセスできるオンラインゲーム システムを運営する外国企業は、フィリピン国内で事業を行っているとみなされるか(さらに、そうみなされることにより、フィリピン国内で原告適格が認められるためにはSEC登録が必要とされるか)、という問題です。

SEC見解の対象となったのは、オンラインゲーム システム等、インターネットをベースとしたコンテンツやサービスを各種提供している外国企業(A社)でした。A社の拠点は香港にありますが、そのサーバーは米国にあります。A社は、フィリピン国内に実際の事務所を構えてはいません。それでもA社の製品やサービスは、インターネットをベースとしているため、フィリピン国内にいる人でも、アカウントを作成してオンラインゲーム コミュニティに参加し、A社がユーザのアカウントに関連付けるチャージ可能な「オンライン ウォレット」を通じ、A社の販売するデジタル コンテンツやサービスを購入することができます。

ある外国企業がフィリピン国内で「事業を行っているか」否かを判断するには、通常、一対の特徴付けテストが適用されます。このテストでは、ある企業が以下のいずれにも該当する場合、フィリピン国内で事業を行っているとみなされます。

・当該外国企業が、その設立目的であった事業を、フィリピン国内で継続的に行っていること
・当該外国企業が、商取引の継続を示す活動を行っており、その設立目的に通常付随しその遂行を促すための行為の実施や機能の実践を企図していること

SECは、上記テストに照らし、A社はフィリピン国内で事業を行っているとみなされる、と判断しました。第一に、A社が実施している活動(オンライン ウォレットへのチャージや、フィリピンのユーザに対するサービスの提供や販売等)から、A社は、フィリピン国内でその主要な事業を継続的に行っていると言えます。第二に、A社の活動は、バーチャルな次元で行われているとは言え、フィリピン国内で完結する取引です。以下に、具体的項目を挙げます。

・ユーザ アカウントの開設が、フィリピン国内で行われている。

・A社のオンライン コンテンツ及びサービスの提供・販売が、フィリピン国内に所在するアカウント保有者に対して/によって行われている。

・オンライン ウォレットのチャージが、フィリピン国内で行われている。

・オンライン コンテンツ及びサービスの販売に対する支払が、フィリピンから行われている。

・オンライン コンテンツ及びサービスの配信が、フィリピン国内で行われている。

 

SECは、さらに以下の点も指摘しました。

 

・オンライン ウォレットは、クレジットカードやデビットカードでチャージできるため、論理上、A社はフィリピン国内のクレジットカード/デビットカード発行会社と取引している、と合理的に言える。

・オンライン ウォレットの存在から、A社の主要事業には、一定期間継続しようという意思が見られる。アカウント保有者は、アカウントが有効である限り、いつでもオンライン ウォレットにチャージし、取引を再開することができる。

 

さらに、A社のオンライン プラットフォームは、単に情報を掲載するための「受動的なウェブサイト」ではなく、インターネットを通じてではあるものの、フィリピン国内における問い合わせやビジネスを十分に発生させる「能動的なウェブサイト」とみなされます。なぜなら、(i) フィリピン国内のアカウント保有者に対するコンテンツやサービスの提供及び販売を行っており、さらに、(ii) フィリピン国内に所在するアカウント保有者によるオンライン ウォレットへのチャージを認めているからです。

以上を踏まえ、SECは、A社はフィリピン国内で事業を行っているとみなすべきである、との見解を示しました。会社法上、A社がSECから事業許可証を取得していないことにより生じる主な結果として、A社には、フィリピンの裁判所及び行政機関において訴訟又は法的行為を遂行することも、これに介入することも認められません。その一方で、フィリピンの裁判所や行政審判廷において、A社に対する訴訟や法的手続が提起される可能性はあります。

以上のことから、オンラインゲーム システムを運営する外国企業がフィリピン国内で事業を行い、フィリピンの裁判所で訴訟を提起する権利を含め、外国企業に認められている権利をすべて手に入れたいと希望するのであれば、SECから事業許可証を取得するべきでしょう。

2017/08/16

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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