知っておこうフィリピン法

第19回 フィリピンにおける商標の登録と維持

皆さん、こんにちは。Poblacionです。今回は、フィリピンで商標を登録し、有効に維持していく方法についてお話しましょう。

フィリピンで商標登録をするには以下2つの方法があります。

(1) フィリピン知的財産庁(IPO)に商標の国内出願を直接行う方法
(2) マドリッドプロトコルを通じた国際出願でフィリピンを指定国にする方法

国内商標出願

商標登録で最初に行う作業は商標出願書類の作成になります。出願様式はこちらから取得できます。出願様式には、以下の詳細/情報を必ず記載する必要があります:

・出願人及び/又はそのフィリピン国内の授権代理人の名称及び連絡先情報。

・標章の鮮明な複製。

・標章の名称。標章が図形の場合、出願人は、標章全体の簡潔な記述を記載しなければならない。標章に英語以外の言語が含まれている場合には、翻訳/翻字を記載しなければならない。

・出願人が標章の特徴として色彩を請求する場合は、標章に使用される特定の色彩(PANTONEナンバー)を記述しなければならない。

・商標を使用する商品又はサービス(ニース分類の番号を含む)。1件の商標出願でいくつでも区分を指定することができる。

・出願人が「優先権の主張」をする場合(先に行った外国における商標出願の出願日を適用させる場合)当該外国出願の詳細を記載しなければならず、外国出願の写しを出願様式に添付して提出したほうがよい。

出願人がフィリピン居住者ではない場合、あるいはフィリピン国内に事業所を構えていない場合にはフィリピン居住者を出願手続やIPOとのやり取りの全てを代理する代理人として指名しなければならず、出願日から60日以内に委任状(SPA)、すなわち出願人の代理として行為を行う現地代理人の権限証明書、をIPOに提出する必要があります。タイミングが合えば、出願様式と一緒にSPAを提出するのがよいでしょう。

形式面の要件を満たした上で出願料を納付すると、IPO商標局(BOT)による実体審査が行われます。BOTは、出願された標章が法律上の登録要件を満たしているか(一般的又は記述的ではないか等)、そして、同一又は混同を生じさせるほど類似する先行の出願商標又は登録商標の有無を確認します。

商標審査官が当該標章の登録ができないと判断した場合、その判断内容を登録の可否に関する報告書としてまとめ、出願人に送付します。出願人は、その報告書の投函日から2ヶ月以内(さらに2ヶ月の延長も可)に回答書の提出が可能です。

一方、商標の登録を拒絶すべき理由がないと商標審査官が判断した場合、あるいは商標審査官による登録不可の判断を出願人が十分に克服した場合、標章はIPOの電子公報に公告され、異議申立の機会が他者に与えられます。その後、30日以内に異議申立が行われなければ、IPOから登録証が発行されます。

標章の登録に対して重大な反論の提起がない限り、商標登録手続は出願日から6ヶ月ないし1年で完了し、登録証が発行されます。商標登録は発行日から10年間有効であり、何回でも更新ができます。

マドリッドプロトコルにおけるフィリピンの指定

フィリピンはマドリッドプロトコルの加盟国です。マドリッドプロトコルとは、世界知的所有権機関(WIPO)に国際出願を1件行うだけで、様々な国における商標登録を迅速かつ円滑に進めることを可能にする条約です。現在、95の国々がマドリッドプロトコルに加盟しています。

フィリピンにおける商標登録を希望する場合、マドリッドプロトコルによる国際出願でフィリピンを指定することができます。国際出願でフィリピンを指定するにあたっては、出願人がフィリピンの非居住者であっても、フィリピン居住者である代理人を任命する必要はありません。ただし、回答書及びその他の書面提出等、IPOにおける以後の手続は、フィリピン居住者である代理人を通じて行わなければなりません。

IPOは、WIPOからフィリピン指定の通知を受けると、国内の商標出願と同様に商標の実体審査を行います。実体審査は18ヶ月以内に行われなければなりません。その後、標章はIPOの電子公報に公告され、異議申立の対象となります。

標章が拒絶された場合、又は利害関係者による異議申立が行われた場合、IPOはその拒絶や異議申立についてWIPOに通知します。出願人には、国内の商標出願と同様の救済措置が認められます。一方、出願について拒絶理由がなかった場合、IPOは、フィリピンにおける保護が標章に認められた旨の書面をWIPOに送付することになります。保護付与の書面は、登録証と同じ効果を有します。

国際登録は登録日から10年間有効であり、一回の更新で10年間ずつ更新することができます。

維持の要件

商標を維持していくためには、フィリピン国内で実際に取引に使用されていることが必要です。従って、宣誓の付いた実際に使用しているという宣言(DAU)の提出が、IPOから全商標権者に義務付けられています。DAUの様式はこちらでご参照頂けます。

なお、DAUの提出に関して遵守すべき期限が2つあります。第一に国内出願の場合には出願日から3年以内、マドリッドプロトコルの場合は国際登録日から3年以内に、DAUを提出しなければなりません。特許権者による標章の使用が法律上禁止されている例外的状況の場合には、前記期間中に標章が不使用であっても、IPOから免除されます。例外的状況とは、差止命令が発行されている場合や、商標取消手続係属中の場合などです。こうした場合、商標権者は、標章を取引に使用できない理由を記載の上、宣誓の付いた不使用の宣言を提出する必要があります。第二に、商標の国内登録日又は国際登録日から5年目にあたる日から6年目にあたる日の間に、宣誓の付いたDAUをもう1通IPOに提出しなければなりません。

1DAUの提出時期は?

 

 

DAUの提出は義務であり、その提出を怠るとIPOの商標登録簿から商標が抹消されることになりますのでご注意ください。実際、これまで多くの商標登録が、商標権者による期限内のDAUの提出が行われなかったために、IPOによって抹消されています。

             

 

2015/9/24

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

お問い合わせ