知っておこうフィリピン法

第32回 外国からの直接投資及び貸付の登録

皆さん、こんにちは。Poblacionです。今回は、外国の投資会社や貸付会社が必ず念頭においておくべき非常に重要な事項でありながら、しばしば忘れられがちな、以下2つの事項についてお話しましょう。

(1) 外国からの直接投資の登録
(2) 外国からの貸付の承認申請及び登録

原則として、外国投資をフィリピン中央銀行(BSP)に登録する必要はありません。しかしながら、登録をすると配当金支払や資金の本国送還のためにフィリピン国内の金融機関から外貨を購入する権利が与えられます。従って、フィリピンで外貨を取得しない企業に対して多額の資本投資を行なう計画がある場合には、BSPに投資の登録を行う必要があります。なぜなら、フィリピン国内の金融機関以外から外貨を調達するのは極めて難しいからです。

外国からの直接投資の登録

BSPへの外国投資の登録は、フィリピンへの送金日から1年以内に行なわれなければなりません。投資が現金で行なわれる場合、登録手続は極めて簡単で、以下の書類をBSPに提出ればよいだけです。

・申請書
・投資の送金を行なった銀行が発行した被仕向送金証明書(CIR)
・投資先企業の役員が株式数及び投資支払額を証明する宣誓付証明書
・SEC登録文書

なお、この登録申請に対しては費用はかかりません。また、登録手続は必要書類が全て揃ってから22銀行営業日以内で完了します。

登録後、BSPはその投資に対するBSP登録証(BSRD)を発行します。配当金の支払や外国の投資家に対する出資金返還のための資金として外貨を購入しようとする場合、フィリピン国内の銀行から求められる書類のうちの1つがこのBSRDです。

外国からの貸付の承認及び登録

外国からの貸付とは、フィリピン居住者が外国企業に対して負うあらゆる債務を指し、その通貨の種類は問いません。これにはフィリピン企業が、外国にあるその親会社や非居住者である株主から受け取る前貸し金も含まれます。BSPは、国の対外債務が管理可能な水準を維持していることを確実にし、国内の外貨の有効活用を促すため、外国からの貸付取引を規制しています。こうした取引を規制する1つの方法として、BSPは、特定の種類の外国からの貸付について、承認及び(又は)登録を義務付けています。

事前承認
BSPの規則には、外国からの貸付について、BSPの事前承認を必要とするもの及び必要としないものがそれぞれ列記されています。このリストは非常に専門的で具体的なものであるため、実施を予定している貸付にBSPの事前承認が必要かどうかを判断するにあたっては、フィリピン弁護士に相談されることをお勧めします。一般的には、政府が保証している貸付やフィリピン国内の銀行から購入する外貨を用いて提供される貸付の場合、BSPの事前承認が必要になります。一方、輸出業者及び仲介会社の貸付により担保される短期の貸付であり、主要なプロジェクトの資金提供に利用される場合にはBSPの承認は必要ありません。

BSPへの承認申請は、貸付契約の署名日又は最初の融資実行日のいずれか早い日付から銀行営業日で数えて遅くとも30日前までに行なう必要があり、併せて裏付書類の提出も必要です。貸付契約が既に署名されていたり、貸付金が既に引き出されている場合、BSPからの承認(及びその後の登録)を受けることはできません。

申請料は貸付額の1%の50分の1になります(ただし、ペソ建ての等価額において、400米ドルを下限額、100,000米ドルを上限額とします)。特定の種類の貸付の場合や、申請人が至急処理を要求する場合には追加手数料が課される場合があります。申請手続は、必要書類の提出から30銀行営業日以内に完了となります。

BSPより承認が得られてから、企業間は交渉を終わらせ貸付契約に署名することになります。通常貸付契約は、BSPの承認から90日以内に締結しなければなりません。90日を過ぎると、BSPによって期間延長がされない限り承認は取消とみなされることになります。

登録
外国からの貸付がBSPの事前承認を必要とするか否かにかかわらず、当該貸付がフィリピン国内の銀行から購入した外貨を利用して提供される場合には、BSPへの登録が必要です。登録申請は、購入から10日以内(貸付金の償還日が1年以内の場合)又は貸付金の利用から3ヶ月以内(貸付金の償還日が1年より先の場合)に提出する必要があります。BSPの事前承認が必要であるにもかかわらず、承認を受けていない貸付は、登録を受けることも、フィリピン国内の銀行から購入した外貨を利用してその後貸付を行なうこともできません。

登録料は、貸付額の1%の50分の1になります(ただし、ペソ建ての等価額において、400米ドルを下限額、100,000米ドルを上限額とします)。特定の種類の貸付の場合や、申請人が至急処理を要求する場合、追加手数料が課される場合があります。申請手続は、必要書類の提出から30銀行営業日以内に完了となります。登録申請人がその前にBSP承認を求める申請をしている場合、貸付登録申請料は、先に支払った承認申請料に既に含まれています。貸付登録は、全必要書類の提出から30銀行営業日以内に処理されます。

登録後、BSPから当該貸付を対象とするBSRDが発行されます。外国からの直接投資の場合と同様に、借用人が債務の履行に外貨を購入する必要がある場合、BSRDの提出をフィリピン国内の銀行から要求されます。

報告義務
当事者らには貸付債務が完全に解消するまでの間、統計目的のため、毎月、外国からの貸付の状況についてBSPに報告する義務があります。

 

2015/12/24

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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