知っておこうフィリピン法

37回 フィリピンでオンラインビジネスを運営するには?

皆さん、こんにちは。Poblacionです。フィリピン人はインターネットのヘビーユーザーです。ニュースサイトや娯楽サイトの閲覧、ブログの運営、オンラインでの会話やFacebookへの記事の投稿等一日に何時間もインターネットを利用して過ごす人が数多くいます。また、今後もオンラインコミュニティーがさらに拡がる傾向にあることを踏まえ、フィリピンでは商品の宣伝や販売にインターネットやモバイルプラットフォームを利用するビジネスがますます発展してきています。実際、3,800万人もいるフィリピン国内のインターネットユーザーにアプローチするためには、もっとも安く手っ取り早い方法はおそらくウェブサイトを立ち上げることでしょう。

それならフィリピンでオンラインビジネスを運営したい、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、急いではいけません!インターネットで自分の製品の宣伝や販売や他の事業者による製品の宣伝や販売のためのデジタルプラットフォーム(ウェブサイト等)の作成を検討する場合には、証券取引委員会(SEC)から発行された2つの意見について認識しておく必要があります。これらの意見により、「あなたの計画が台無しになる」おそれもあるからです。

SEC Opinion No. 12-16は、インターネットを通じて割引クーポンの宣伝販売を行なう企業に関するものです。ここでは、かかる企業が広告代理店又はマスメディアのいずれに分類されるかについての判断がSECに求められました。なぜそのような分類が重要なのか、と思われるかもしれません。フィリピン憲法に基づき、その企業が広告代理店と分類された場合当該企業の持分の70%以上がフィリピン資本であることが要求されるのに対し、その企業がマスメディアということであれば、持分の100%がフィリピン資本でなければならないのです。 

SECはこの意見において、「マスメディア」という用語の法律上の定義は、「テレビ、ラジオ、雑誌、映画、広告掲示板...等、広告メッセージを公衆に伝達するために使用される手段及び方法」であると説明した上で、「広告代理店」と「マスメディア」の違いを示しました。司法省の過去の意見を引用したSECの説明によれば、広告代理店とは、単に顧客の営業用資料の草案作成、準備及び制作を行ない、その資料を公衆に向けて拡散するための媒体を推奨するものです。広告代理店は、作成した資料を実際に拡散することはせず、これを行なうにはマスメディア(新聞、ラジオ、テレビ会社等)の力を利用することが必要となります。ただし、公衆に対する情報の拡散を広告代理店が実際に自ら行なう場合には、マスメディアともみなされることになります。

最初の話に戻しますと、SECは、クーポンはたとえ利用されなくても製品やメーカーに関する情報を伝達するため、クーポン自体が広告である、と指摘しました。ある企業がクーポン発行の企画にかかわっているに過ぎない場合(すなわち、単に営業資料の草案作成、準備又は制作を行ない、その資料を公衆に向けて拡散するのに使用する媒体について顧客に助言する場合)、その企業は広告代理店であり、持分の70%以上がフィリピン資本でなければならないという規定の適用を受けます。

一方、その企業が実際に、製品の販促やクーポン情報の公衆向け拡散のためのインターネットプラットフォーム又はウェブサイトを運営している場合にはマスメディアとみなされ、持分の100%がフィリピン資本でなければならないという規定が適用されます。

SEC Opinion No. 14-06においても、同様の問題が取り上げられました。この意見は、インターネットやモバイル技術を利用したデジタル発行物の販促及び販売を行なっている、100%外資所有の内国企業、Komli Network Philippines, Inc.に関するものでした。Komliは、他の活動に加え、特に以下の活動を認められていました。

・デジタル発行物の卸売りの販促及び販売

・顧客へのデジタルプラットフォームの提供、顧客の販促キャンペーンに最適なオンライン販路に関する助言提供

・オンライン在庫を販売し換金するためのデジタルプラットフォームの第三者ウェブサイトへの提供

 

SECは、Komliが実際に、対象顧客の興味を引きそのデジタル発行物を購入させるためのウェブレイアウト及びメッセージのコンセプトを考え、準備し、制作していることから、広告事業を行なっている、と結論付けました。これにより、Komliは、広告代理店として、持分の70%がフィリピン資本でなければならないという規定の適用対象とみなされました。

それだけではありません!SECは、Komliが「特定の製品の販促を目的としたオンラインプラットフォームを提供するであろう」ことも指摘しました。SECは、SEC意見No. 12-16における、販促を目的としたインターネットベースのプラットフォームを運営している企業は、マスメディア企業であるという決定をあらためて繰り返し、Komliを100%外資所有とすることは認められないと決定付けました。

予想どおり、上記意見は、投資を阻害するものとして批判の対象となりました。実際、極端な捉え方をすると、上記意見は、フィリピン国市民やフィリピン資本が所有する企業のみがインターネット販売を行なったり、一般公衆に情報を拡散するウェブサイトやオンラインプラットフォームを運営したりできると示唆しているようにも思われます。

確かに、外国企業に対してもっと寛大な規則を策定する必要があります。従来とは異なるプラットフォーム(インターネット及びモバイル技術)を用いてフィリピン国内で事業を行なう場合には、尚更その必要があるでしょう。ただ、SECの意見は、SECに提起された具体的案件にのみ適用されるものであって、法律や行政規則という存在ではないことを認識しておけば、少しは気が楽になるでしょう。そうした理由により、SECの意見が、裁判所や第三者に対して拘束力をもつことはありません(ただし、納得させる効果はあります!)。フィリピンではSECの上記意見の適用について、近々修正又は説明が行われることが期待されています。

2016/02/04

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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