知っておこうフィリピン法

45回 フィリピンでの不動産購入

皆さん、こんにちは。Poblacionです。 昨年の夏、私は主人と隅田川の花火大会を見に行きました。これぞ日本、という体験をしようと二人で浴衣を着て浅草へ行き、暑さと人混みの中を頑張って一時間近くも歩き、途中で道が分からなくなってしまいましたが、なんとか招待してくれた知人の待っていた見物場所に辿りつきました。

その夜のハイライトは、明るく色とりどりで、様々な大きさや形の花火であったことは言うまでもありません。本当に楽しくて思い出に残る夜を過ごせました。また花火を見物できる機会が今から待ち遠しいです。

さて、そろそろ仕事の話に戻りましょう … 今回は、フィリピンでの不動産購入についてお話したいと思います。

おそらくご存知かと思いますが、フィリピンでは外国籍の者には土地の所有が認められていません。フィリピン憲法に基づき、土地は、公有地であろうと私有地であろうと、フィリピン国籍を有する者か資本の60%以上がフィリピン資本である企業にのみ、所有が認められています。フィリピンではこの規則が非常に厳格に執行されています。従って、所有が認められていない外国籍の者への土地の販売や譲渡を行うことはできません。実際のところ、外国籍の者が土地を購入するにあたり、フィリピン籍の者にダミーとしての行為を依頼することも違法であり、依頼した外国籍の者とダミーとなったフィリピン国籍を有する者の両者が刑事罰の対象となり得ます。

一方、土地以外の不動産の所有権に関しては一切制限がないと言ってもよいでしょう。つまり、外国籍の者や外国企業であっても、土地自体は別として、フィリピン国内の土地に建築された建物、機械装置及び改良物を所有することができます。ただし、マンションの場合は原則として、外国籍の者が所有する区分の合計(床面積ベース)が、マンションの建物全体の区分所有面積の40%を超えない場合に限って、外国籍の者の区分所有が認められます。

もし、フィリピンでの不動産取得に興味をお持ちでしたら(そしてより重要なことですが、取得が認められたら)、以下の重要な点を知っておく必要があるでしょう。

・真の所有者との取引
必ずその不動産の真の所有者と取引するようにしてください。土地やマンションの区分に関する所有権は、登記所の発行する権原証書で確認できます。その他の不動産の所有権については、地元の課税額査定事務所が発行する税金申告書で確認できます。
取引相手が代理人である場合には、所有者の代理として行為するための委任状をその代理人に求めるのを忘れないようにしてください。その不動産が共有物である場合には、必ず全共有者の同意を得てください。

・権原の真正の検証
権原証書が偽造されていたり、複数存在することもありますので、十分に注意してください。所有者がコピーした権原証書を信用してはいけません。必ず、登記所に保管されている権原証書の原本を確認してください。

・不動産に対する負担
不動産に設定された先取得権、抵当権、その他負担がないかを確認することが肝要です。これらの先取得権は通常、登記所に記録されており、不動産の権原証書に裏書されています。所有者がコピーした権原証書には、裏書が全て含まれていないことがよくありますので、必ず登記所に保管されている権原証書原本も確認するようにしてください。

・固定資産税が納付済みであるかどうか
不動産の所有者には、毎年固定資産税の納付が義務付けられていますので、その不動産に対して課された税金が全額納付済みであることを確認する必要があります。後になって、その不動産に関して税金の未納分があるという指摘を地方政府から受けるというようなことがないようにしましょう。

・「隠れた費用」の認識
不動産を売買すると、購入価格の他に、様々な国税や地方税、そして登録料が発生します。不動産が通常資産(すなわち、取引又は事業に関連する財産)に分類される場合、その売却には所得税と12%のVAT(付加価値税)が課されます。一方、不動産が資本資産に分類される場合、その売却には6%のキャピタルゲイン税が課されます。いずれの場合にも、取引には印紙税と地方税が課されます。税額は、不動産の取引価格又は公正市場価値のいずれか高い方に対し、印紙税については1.5%、譲与税については0.50%(首都圏マニラ外)又は0.75%(首都圏マニラ内)以下の税率が、それぞれ適用されます。権原を買主に移転するためには、取引価格の約0.50%となる登録料も登記所に納めなければなりません。このような追加費用の発生を考えて、取引の当事者は、取引に関して支払義務の発生する税金や手数料について、どちらが負担するかを最初の段階でしっかり決めておくべきでしょう。

・登記方式の遵守
不動産の売買については、当事者間で執行可能なものとするためには書面で行なう必要があり、第三者に対する対抗要件を具備させるためには認証が必要です。また、土地や区分所有権がかかわる売買取引の場合には、登記局に適式に登記しなければなりません。

フィリピンでの不動産取引は、一般人にとっては特に、複雑で難解なものとなるでしょう。その過程では、十分に精査し、適切な書類を揃え、期限までに税金を納付し、政府の諸機関とやり取りすることが必要になります。そのため、各段階で助言してくれる弁護士や不動産コンサルタントのサービスを受けることをおすすめ致します。

 

2016/03/31

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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