知っておこうフィリピン法

第49回 従業員のストライキ権

皆さん、こんにちは。Poblacionです。以前、私は主人と東京湾花火大会を見に行きました。花火は、期待を全く裏切らない大満足のもので最後のフィナーレは最高でした。一番大きくて豪華な花火がいくつも同時に打ち上げられ、まさに息をのむという感じでした!

さて、今回は「爆発的」という点では花火にたとえることもできそうな出来事、従業員のストライキについてお話しましょう。

御社がフィリピンで雇用する従業員にはストライキ権があるのでしょうか?答えはイエスです。法律に従ったストライキ権を含め、平和的協調活動を行なう労働者の権利は、憲法により保証されています。ただし、ストライキ権は絶対的なものではありません。従業員は、理由もなく、あるいは直前に通知をして、ストライキを行なうことは認められていません。ストライキとは相当の支障をきたすものであるため、労働法に定められた条件に厳格に従った場合に限り、行なうことができます。

合法的ストライキの基本的条件は、以下のとおりです。

①ストライキには合法的な目的がなければなりません

労働法には、ストライキの正当な理由として認められる2つの理由が以下のとおり規定されています。

(a)団体交渉の膠着

(b)使用者による不正な労働慣行(すなわち、労働組合への参加を従業員に禁止する等、従業員の組織化権を侵害する行為)

 

上記以外の理由で従業員がストライキを行なうことは認められません。たとえば、従業員と労働組合間の問題や、1つの会社内にある複数の労働組合間の問題は、ストライキの対象となる紛争ではありません。

②ストライキを行う労働者は手続上の要求事項に厳格に従わなければなりません

その手続は、労働雇用省(DOLE)– 中央斡旋調停委員会(NCMB)にストライキの届出を行なうところから始めます。合法的な労働組織(すなわち、DOLEに適式に登録された組合)であればいずれも、不正な労働慣行を理由とするストライキの届出を行なうことができ、その届出には必ず、申し立てる具体的行為を記載する必要があります。一方、団体交渉の膠着を理由とする場合、交渉における労働者の代表に選定された労働組合が届出を行なうものとされています。その届出では、未決着の問題を特定し、膠着状態を脱するために労使双方があらゆる努力を尽くしてきた証拠を示すことが必要です。

ストライキを行なう労働者はさらに、以下の手順にも従わなければなりません。

・30日の冷却期間(理由が団体交渉の膠着である場合)又は15日の冷却期間(理由が不正な労働慣行である場合)をおくこと。その間にNCMBは、自主的な解決をもたらすためのあらゆる取組みを、仲裁及び調停の場で行ないます。ストライキの理由が組合つぶしであり、組合の存続が危ぶまれる場合には、冷却期間をおく必要はありません。ただしその場合でも組合は、ストライキ権確立の投票を行なった上で、7日間の待機期間を設ける必要があります。これについては、以下に記載します。

・無記名投票によるストライキ権確立の投票を実施すること。ストライキには、全組合員の過半数による承認が必要とされます。投票結果は、ストライキが計画されている日の7日前までにNCMBに提出しなければなりません。

・ストライキ権確立の投票結果をNCMBに報告後、7日間の待機期間を設けること。この期間中、組合員と使用者には、ストライキ権確立の投票結果報告について有効性を確認する機会が与えられます。

③ストライキは平和的に行なわなければなりません

ストライキを行なう労働者がストライキ中に暴力行為、威圧行為又は脅迫行為を行うことは、厳格に禁止されています。公共の道路を封鎖したり、使用者の施設への自由な出入りを妨害したりすることも禁止されています。

④差止め命令が発行された場合、ストライキを行なう労働者はその命令に従わなければなりません

労働争議が、病院や教育機関等、公共の利益に深くかかわる産業におけるものである場合、大統領又はDOLE秘書官は当該争議に対する管轄権を引受けるか、当該争議を強制的仲裁の対象に認定することができます。その結果、ストライキは自動的に終了となり、全従業員は直ちに職務に復帰することを要求されます。一方、使用者には、ストライキを行なった労働者を再度受け入れることが要求されます。

上記条件に従わない場合と、ストライキは「非合法」なものとなり、組合役員や組合員には様々な罰則が科される可能性があり、解雇となることさえあります。非合法であることを知りながら組合役員がストライキに参加した場合、解雇が有効となり得ます。なお、ある組合員が、単に非合法なストライキに参加しただけで、ストライキ中に暴力行為やその他違法行為を犯すことをしていなければ、自動的に雇用の地位を失うことはありません。従業員が禁止行為をした場合(届出義務又はストライキ権確立の投票義務に従わないでストライキをしたり、ストライキ中に暴力行為をしたりした場合等)は、労働法違反による刑事罰の対象となり、3ヶ月から3年の懲役及び/又は1,000ペソから10,000ペソの罰金を科される可能性があります。

ストライキの実施にあたり法律上の条件を満たす義務が従業員にあるように、使用者にも、従業員によるストライキ権の行使を尊重する義務があります。すなわち、平和的なストライキやピケッティングをやめさせるために使用者が暴力行為、威嚇行為又は脅迫行為をすることは許されません。平和的なストライキの妨害や阻止のためにストライキ破りを雇う行為も認められません。なお、使用者がそのような行為に及んだ場合、上記同様に、労働法違反による刑事罰の対象となり、懲役及び/又は罰金を科される可能性があります。

 

 

2016/05/12

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

お問い合わせ