知っておこうフィリピン法

第5回 フィリピン汚職防止法

皆さん、こんにちは。Poblacionです。汚職の問題は、フィリピンが長年抱えている問題であり、多くの投資家にとって懸念材料にもなっています。そこで政府は、汚職を根絶し、公職に清廉性と責務を取り戻すための改革を断行しています。近年、役人の汚職に対する取締りが行われ、その結果、様々な汚職の告発が政府高官に対して行われています。これには元大統領や最高裁主任判事の弾劾も含まれています。

フィリピンには汚職防止法が数多く存在し、これらの法律は、考え得るあらゆる種類の贈収賄行為に十分対応できるほど広範なものとなっています。また、そのような汚職防止法のほとんどは、互いを排除するものではなく、検察側は、一つの汚職行為について様々な法律に基づく複数の罪状で起訴することが可能です。したがって、政府の役人とかかわりを持つ際には、フィリピンの汚職防止法に精通しておくこと、あるいは弁護士の助言を受けることが非常に重要です。

今回はフィリピンで一般的な汚職防止法の概要についてお話しましょう。

I. 改正刑法

改正刑法では、下記の行為が処罰の対象となります。

 

直接的収賄で有罪となった者役人又はには、6年以上10年以下の懲役及び最高で賄賂額の3倍程度の罰金が科される可能性があります。また、間接的収賄で有罪となった者は、2年4ヶ月以上6年以下の懲役に科される可能性があります。条件付収賄で有罪となった者には、20年以上40年以下の懲役というさらに厳しい罰則が科されます。最後に、賄賂の申し出又は提供を行った民間人には、賄賂を受け取った側の役人又は公務員に科される罰則と同じ罰則が科されます。

II. 大統領令第46

大統領令第46号は、既存の法律を厳格化し、考え得るあらゆる形態の収賄及び汚職行為を一掃するために制定されました。同令は役人又は公務員がいかなる場合であっても、たとえ誕生日やクリスマスであっても、その職位を理由に提供される贈答品を受け取ることを禁止しています。

その一方で同令は、役人又は公務員に贈答品の申し出や提供を行う民間人にも罰則を与えています。これが過去の便宜に関するものか将来の便宜に関するものかは問いません。大統領令第46号では、役人又は公務員、もしくはその近しい親戚を称えるためのパーティーや宴会の開催も禁止しています。

大統領令第46号に違反した者は、1年から5年の懲役が科せられ、公務員資格を永久に剥奪されます。さらに、関係する役人又は公務員は、行政上の懲戒処分の対象ともなり、有罪と判断された場合には、犯罪行為の重大性に応じて休職又は免職となる可能性があります。

III. 収賄及び汚職行為防止法(共和国法第3019号)

共和国法第3019号は、おそらくフィリピンでもっとも頻繁に活用されている汚職防止法です。同法には、違法な汚職行為とみなされる行為が数多く、包括的に列挙されています。「役人による汚職行為」として分類される行為の一部を以下に挙げます。

上記汚職行為のいずれかを行った役人又は公務員、及び当該公務員と共謀した民間人は、6年1ヶ月から15年の懲役が科され、公務員資格を永久に剥奪され、犯罪行為による収益を没収されます。

さらに、共和国法第3019号違反により起訴された場合でも、通常適用されるその他の刑法に基づく起訴は毀損されません。例えば、改正刑法に基づき直接的収賄で告発され、かつ(又は)有罪とされた者が、その告発の理由となった行為と同一の行為を理由に、共和国法第3019号違反で告発される場合があります。

Iv. 略奪防止法(共和国法第7080号)

略奪とは、役人又は公務員が、汚職行為の組合せ又は継続して、総額でPhp 50,000,000の不正な利益を取得することです。当該犯罪行為には、以下が含まれます。

 

同法では、関連の役人又は公務員と汚職行為に加担した民間人の両方に罰則が与えられます。略奪の罰則は、12年以上40年以下の懲役刑及び公務員の退職金及び功労金の没収です。裁判所は、不正な利益の一切についても、国家による没収を宣言します。

V.  公務員の行動規範及び倫理基準(共和国法第6713号)

共和国法第6713号に基づき、役人及び公務員は、その職務過程において、いかなる者からも贈答品、謝礼、恩恵、接待、貸付又は金銭的価値のある何かを誘引又は受領すること禁止されています。贈答品の価値が普通であるか高いものではなく、便宜を期待して、あるいは便宜と引き換えに提供されたものでもない場合は、禁止の対象外となります。

共和国法第6713号違反と認められた役人及び公務員には、裁判所の裁量により、5年以下の懲役及び(又は)Php 5,000以下の罰金が科されます。共同正犯者、共犯者又は従犯者として加担した民間人も、役人又は公務員と同等の刑事責任を負わされ、と一緒に裁判にかけられます。

2015/7/13

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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