知っておこうフィリピン法

第53回 愛が冷めたら . . . 国際「離婚」

 

皆さん、こんにちは。Poblacionです。数ヶ月前、私は、日本人とフィリピン人との結婚に関する法的支援セミナーにボランティアとして参加しました。私にとって、日本ではお互いの合意さえあれば離婚できるという事実は、大変な驚きでした。さらに驚いたのは、いかに手早く簡単に離婚手続を進められるか、という点でした。役所に行って書類に署名するだけで、「はい終わり!離婚成立!」となるのですから。大抵のフィリピン人が、そんなのは言語道断だ、と思うことでしょう。

さて、皆さんはご存知でしょうか?フィリピンには離婚に関する法律がありません。実際のところ、(もちろん、バチカン市国は別として)フィリピンは世界で唯一、離婚が禁止されている国として(ネガティブな意味で)有名です。ですから、私達フィリピン人にとって「死がふたりを分かつまで」という結婚式での誓いは、単なる甘い約束ではありません。固い約束なのです。

ただし、「離婚禁止」の原則にもわずかな例外はあります。一般的な例外の一つが、国際離婚の承認です。フィリピン国籍の配偶者との離婚を考えている方、あるいは、離婚歴のあるフィリピン人との結婚を考えている方に対し、以下に「よくある質問」を並べます。

1.私はフィリピン人と結婚している外国人です。フィリピンでは法律上離婚が認められていないそうですが、私はフィリピン人の配偶者と離婚できない、ということになるのでしょうか?

属人法、すなわち個人の婚姻や地位に関連する法律がかかわる場合、フィリピンは属人主義に従います。フィリピン国籍の者に対しては、本人が世界のどこにいようと、フィリピンの属人法が拘束力を有します。これに対し、外国人の婚姻や法的地位に関連する事柄には、その本人の自国の法律が適用されます。

ですから、あなたの国の法律で離婚が認められており、その法律に従って行なわれるのであれば、フィリピン人の配偶者と離婚することができます。

2.フィリピン人の配偶者の方はどうですか?離婚の申立はできますか?

属人主義に基づき、フィリピン国籍を有する者は、フィリピンで離婚が認められていないことから、たとえ本人の居場所がどこであろうと、離婚手続を開始することはできません。仮にフィリピン人の配偶者が海外で(例えば日本で)離婚手続を有効に開始したとしても、フィリピンでは有効と認められません。(不公平ですよね?不幸なことに、これがフィリピンの法律です。)

一方、外国人の配偶者の方が離婚手続を開始し、これがその後外国の裁判所によって認められた場合には、家族法第26条により、その外国における離婚の法的効果は、フィリピン人配偶者にも適用されることになります(質問4参照)。ただし、協議離婚についてもフィリピンで認められるかについては、フィリピンの最高裁判所による確定判決がまだ下されていないことを付記しておきます。

3.フィリピン人配偶者との離婚が成立しました。フィリピン法上、何かしなければならない手続きはありますか?

一番望ましいのは、フィリピンの民事登録局に離婚承認確定判決を登録し、婚姻契約書に注記してもらうことでしょう。そうすれば、あなたとあなたの元配偶者のフィリピンにおける婚姻記録は適切に処理され、将来、あなたが他のフィリピン人との再婚を決めたり、あなたの元配偶者であるフィリピン人が再婚を決めたりした場合に、面倒なことになるのを避けることができます。

離婚承認確定判決の登録とは、判決の写しをフィリピン大使館又はフィリピン国家統計局に提出すればよい、というような単純なものではありません。以前のコラムでお話しましたとおり、外国判決は、フィリピンで即時に直接的効力を生じるものではありません。離婚承認確定判決を正式に登録するには、まず「国際離婚の承認裁判」という正式な手続により、フィリピンの裁判所に離婚の確認をしてもらう必要があります。ここで、裁判所に訴えを起こすのに、フィリピン人弁護士を雇うことが必要になります。裁判所は、離婚承認確定判決の真偽及び適切な執行について確認し、さらに、適用される外国法に基づく離婚の効果についても確認します。離婚承認確定判決は、裁判所によって確認された上で初めて、フィリピン民事登録局に正式に登録することができます。

4.日本人との離婚歴があるフィリピン人女性と結婚する予定です。フィリピンの法律では離婚が認められないそうですが、私は彼女と法律上結婚することができないのでしょうか?

その女性には再婚が認められます。これに関し、家族法第26条には以下のとおり規定されています。「... フィリピン人と外国人の婚姻が有効に成立し、その後、外国人配偶者が外国で有効に離婚を成立させ、再婚する資格を得た場合、フィリピン人配偶者も、フィリピン法に基づき再婚できるものとする。」

第26条は、自国の法律により離婚を認められないフィリピン人と、自国の法律で離婚を認められる外国人との婚姻からもたらされる不均衡を是正する措置です。不均衡とは、フィリピン人の配偶者が婚姻に縛られるのに対し、外国人の配偶者は自国の法律に基づき自由に結婚できるという状況のことです。このように、フィリピンでは離婚の禁止が原則ですが、第26条に例外規定が設けられており、外国における離婚の法的効果がフィリピン人にも適用されることになっています。

5.離婚歴のあるフィリピン人と結婚する場合、その結婚がフィリピン法上有効と認められるには、どのような要件を満たす必要がありますか?

この場合、その結婚がフィリピン法上有効となるためには、以下の条件が全て満たされなければなりません。

日本ではよく、結婚も離婚も紙一枚の問題と言われていますが、相手が誰であれ、幸せな婚姻関係を築くことが一番ですね。 

 

2016/06/09

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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