知っておこうフィリピン法

第54回 空の旅にも権利はあります!

皆さん、こんにちは。Poblacionです。先日、私は主人と広島に旅行にでかけました。まず、広島湾に浮かぶ宮島に行って有名な厳島神社を見学し、海中に建つ大鳥居の写真を何枚も撮りました。ロープウェイに乗って弥山にも登りました。高所恐怖症の私にとってロープウェイに乗るのはかなりスリルのある体験でしたが、弥山から見た島の風景の素晴らしさに、登った甲斐があったと実感しました。

 

 

翌日は、広島市内を散策して公園、お城、美術館、ショッピング街等を周りました(おかげで、足はへとへとになりました・・・)。有名な広島風お好み焼きも、大盛りで頂きました(ダイエットはお休み!)。もちろん、平和記念公園にも行きました。広島の悲惨な歴史を伝え、平和と核兵器廃絶の願いを込め、穏やかに広がるその緑地を歩いたことは、今回の旅行の中でも印象深いものでした。あの運命の日に犠牲になった人々や生き残った人々の体験した悲惨な出来事について学び、深く心を動かされ、謙虚な気持ちになりました。

 

さて、話を旅行というテーマに戻しまして、今回は、フィリピンにおける航空旅客の権利についてお話しましょう。

フィリピンは島嶼国ですから、あるエリアから別のエリアに移動するのに一番早い手段が飛行機であるということはよくあります。ただし、フィリピンでの飛行機の利用には、不便なところもあります。フライトが何時間も遅延することが度々あったり、突然フライトがキャンセルされたり、チェックインカウンターに長い行列ができていてフライトに乗り遅れたり、という話を聞かれたこと(あるいは実際に経験されたこと)もあるでしょう。複数の航空会社のサービスの質の低下に対する苦情が増えたことから、「航空旅客権利章典」が発効されるに至りました。

「航空旅客権利章典」は、国内線及び国際線の航空会社による不当行為から航空旅客を保護することを目的としています。フィリピンの航空会社が運営するフライトだけではなく、フィリピンを出発地とする外国の航空会社が運営するフライトも、その適用対象となります。ですから、フィリピン国内を出発地及び/又は到着地とするフライトの利用を考えている場合には、以下に記載する重要な航空旅客権利について、知っておいておいた方がよいでしょう。

航空券購入前に正確な情報の提供を受ける権利

フライトの潜在的利用者は、航空券を購入する前に、その航空券の全条件について完全で公正かつ明確な開示を受ける権利があります。これには、チェックインの条件、払戻し及び予約変更に関するポリシー、フライトの遅延/キャンセルの場合の手続が含まれます。航空会社は、航空運賃の広告についても、誤解を招かない明確なものにしなければなりません。確かに以前は、広告において驚くほど低価格の航空運賃がキャンペーン価格として掲げられていたのに、実際には税も燃油サーチャージ(何千ペソにもなります)もその掲載されていた価格には含まれておらず、おまけにその航空券にはたくさんの制約(払戻し/予約変更不可、等)までつけられていた、というようなこともありました。このような誤解を生む手法をやめさせるため、今では、主な発券条件や制限の全てを広告掲載時に開示することが、航空会社に義務付けられています。

購入したサービスの価値を全て得る権利

チェックイン手続を受ける権利

予約済みの航空券と通常のチェックイン時に必要な書類を手にしてチェックインの手順に従っている旅客については、順当に手続を進める必要があります。出発予定時刻の1時間以上前から指定されたチェックインカウンターに並んでいた旅客を、遅刻した、あるいは姿を見せなかったとすることはできず、チェックインを拒否することもできません。

十分な手続の時間を与えられる権利 

旅客には、チェックイン及び最後のセキュリティチェックの手続を受けるための時間が十分に与えられなければなりません。国際空港に就航している航空会社には、出発予定時間の2時間以上前からチェックインカウンターを開けることが義務付けられています。国内線の空港では、航空会社は、出発予定時間の1時間以上前からチェックインカウンターを開けなければなりません。さらに、航空会社には障害者、老齢者及び介助必要者用のチェックインカウンターを1つ以上設けることも要求されています。

 搭乗の権利 

あるフライトのためにチェックインを済ませた人には、オーバーブッキングや出国手続上の問題等、法律上の又は正当な理由がある場合を除き、そのフライトに搭乗する権利があります。また、オーバーブッキングは容認されていますが、旅客が被った費用、不都合その他の結果については、航空会社に補償義務があります。

補償を受ける権利

フライトのキャンセルや遅延があった場合、旅客には以下の権利があります。

 

事例

旅客の権利

出発予定時間の24時間以上前に、航空会社に帰責される理由により、フライトがキャンセルされた場合

  • フライトキャンセルの通知
  • 再予約又は航空運賃全額の払戻し

出発予定時間前の24時間以内に、航空会社に帰責される理由により、フライトがキャンセルされた場合

  • フライトキャンセルの通知
  • アメニティ(食事、ホテル、移動手段)の提供
  • 航空運賃全額の払戻し
  • 運賃差額の支払を伴わない他の航空会社への変更
  • 追加料金を伴わないチケットの再予約

不可抗力によるフライトのキャンセル

  • 航空運賃全額の払戻し

航空会社に帰責される理由によるか否かを問わず、旅客を搭乗させないまま、フライトが出発予定時間から3時間以上遅延した場合

  • アメニティ(食事等)の提供
  • 再予約、チケットの払戻し請求、又は別の航空会社への変更

航空会社に帰責される理由により、旅客を搭乗させないまま、フライトが出発予定時間から6時間以上遅延した場合

  • フライトのキャンセルとみなし、フライトがキャンセルされた場合の権利及びアメニティを利用すること
  • 遅延した飛行区間の価格に相当する追加補償金
  • (最終的に飛行した場合の)航空機搭乗

旅客を搭乗させた状態で、フライトが出発予定時間から2時間以上遅延した場合

  • 食料及び飲料の提供

 

手荷物の紛失や負傷した場合、旅客には以下の権利があります。

事例

旅客の権利

手荷物の遅延、紛失及び損傷

  • 荷物未積載の通知
  • 遅延24時間につき2,000ペソの補償金の支払
  • フライト到着時間から24時間以内に手荷物が到着しなかった場合の、手荷物受託料払戻し
  • 手荷物の紛失又は損傷の場合の補償

死亡及び傷害

  • 適用される国際条約に基づく補償

 

航空会社には、事例発生日に補償金を直ちに支払うことが義務付けられています。支払は、旅客の裁量に応じて、空港カウンター、又は航空会社の主たる営業所もしくは支店のいずれでも受け取ることができます。

 

2016/06/16

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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