知っておこうフィリピン法

第58回 善意への課税

皆さん、こんにちは。Poblacionです。皆さんは海外で寄付をおこなったことはありますか?今回は、フィリピンで寄付をした場合の税務事情についてお話しましょう。

税金逃れはできません

フィリピンでは、フィリピン国内での居住・非居住を問わず、原則として、寄付金は必ず課税対象となります。非居住者の外国籍の人が寄付をした場合であっても、寄付された財産の所在する場所がフィリピン国内であれば、フィリピンで課税されます。例えば、日本に居住する日本国籍の人が、マニラに所有しているコンドミニアムのユニットを信頼できる支援団体に寄付したいと考えた場合、その寄付は課税対象となります。

寄付をする人への税金は、「純贈与」、すなわち寄付された財産から得られる経済的利益に基づいて算定されます。そのため、もし、あなたの寄付したコンドミニアムのユニットに300万ペソの価値があっても、寄付を受けた人が100万ペソ分のローンの返済を請負わなければならない場合、課税対象となる純贈与は200万ペソということになります。寄付をする人に課される税率は、純贈与に対して30%です。ただし、家族(配偶者、親、子及び4親等までの血族)への贈与については、0%から15%という低い税率になります(贈与額に応じて異なります)。

通常、納税義務を負うのは寄付をする人です。納税申告は、寄付をした日から30日以内に行わなければなりません。フィリピン居住者の場合、内国歳入庁(BIR)の認定代理銀行に納税申告書を提出します。非居住者が寄付をした場合には、フィリピンの大使館又は総領事館に提出するか、BIR長官宛に直接提出することができます(RDO No. 39)。

免税措置

もちろん、すべての寄付が課税対象ということではありません。善意による寄付に過度な負担をかけないようにするため、税法上、以下の寄付については免税とされています。

・10,000ペソを超えない範囲の、花嫁の持参金又は親から子供への結婚祝い

・国/地方政府及び非営利政府機関への寄付

・教育団体、公益団体、宗教団体、文化事業団体、社会福祉団体、慈善団体又は研究団体への寄付
(ただし、寄付を受けた団体が、寄付金の30%以上を組織の管理運営に使用しないことを条件とします。また、これらの寄付を受ける団体は、フィリピンNGO認定評議会(PCNC)による認定を受けていなければなりません。PCNCに認定されたNGOのリストはこちらからご参照頂けます。)

・特別法により免税される寄付(例:フィリピン赤十字社や国際稲研究所への寄付など)

・議員候補者又は政党への現金又は現物による寄付であって、選挙管理委員会に適切に報告されたもの(ただし、選挙法及び会社法により、外国人及び(外国又は内国の)法人には、政治献金は禁止されています。)

上記のとおり、恵まれない人に対して直接寄付や資金援助をすると、事実上、課税されることになります。(ただし、特に寄付の金額がごく少額の場合には、実際に課税されることはほぼありません)ですから、もし自分の寄付が課税対象となることを避けたいということならば、政府を通じて寄付するか、自分の選んだPCNC認定NGOに寄付するという選択をお勧めします!

課税対象所得からの寄付金控除

善意をさらに促すため、そして思いやりに対する報酬として、税法には、寄付をした人の課税対象所得から寄付金額(その全額又は一部)を控除し、国に収める所得税を減額できることが規定されています。

全額控除できる寄付の例は以下の通りです。

・教育、健康、若年層及びスポーツの発展、住宅供給、科学、文化及び経済の発展における優先事業への資金提供のために政府に対して行われる寄付

・フィリピンが締結した条約又は特別法に基づき全額控除の対象である寄付(フィリピン赤十字社への寄付等)

・PCNC認定NGOへの寄付

ただし、寄付について控除が認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

1)寄付が受領された課税対象年の期末から三ヶ月目にあたる月の15日までに寄付が活用されること(例えば、11月に寄付が行われ、そのNGOの財務年度の期末が12月31日である場合、翌年の3月15日までにその寄付が活用されなければなりません。)

2)NGOの年間運営費が、その年の経費合計額の30%を超えないこと(この条件は、寄付が、単にNGOの事務所経費又は役員や職員の給与の支払に使用されるのではなく、指定された受益者に直接届くことを確実にするものです。)

3)解散した場合にそのNGOの資産が、同様の目的で設立された別のNGOか、公益目的で政府に分配されること

4)そのNGOの受託者が、受託者としてのサービスに対する報酬を受領しないこと(これも、寄付が個人利用に流用されないにするための保護措置です。)

一方、以下の寄付は、寄付をした人の所得の5%(法人の場合)又は10%(個人の場合)までの範囲で控除することができます。

・政府に対する公益目的の寄付(上記に含まれないもの)
・非認定NGOへの寄付又は認定NGOの寄付であって上記条件を満たさないもの

外国から輸入される寄付

寄付をする人への課税とは別に、輸入品の寄付には輸入税及び12%の付加価値税も課されることにご留意ください。当然、規則には例外があります。例えば、政府機関や認定援助団体を通じて運ばれる食料、衣類、薬品その他の救援物資のような国際的人道支援の場合、輸入税の課税はありません。また、国内の災害時には、外国からの支援物資の輸入に対する付加価値税は、通常、政府が負担します。

個人でコンドミニアムなどを寄付することはあまりないかもしれませんが、災害時などには国を問わず、善意の寄付が世界各国でなされるといいですね!

2016/07/14

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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