知っておこうフィリピン法

第81回 フィリピン人の子供の国際養子縁組

皆さん、こんにちは。Poblacionです。子供がいてこそ完全な一つの家族であると言われますが、自分達の子供に恵まれない夫婦には、養子縁組という選択肢もあります。

フィリピンには、一般的な養子縁組の方法が以下の2つあります。

(a) 国内養子縁組(養子縁組手続をフィリピン国内で行う)

(b) 国際養子縁組(養子縁組手続の一部をフィリピン国内で行い、他の手続の一部を養親の居住国で行う)

 

フィリピン人の子供を養子にしたいという希望はあっても養子縁組手続が完了するまでの全期間を通じてフィリピンに滞在できるほど時間的余裕のないという外国籍の者の場合、おそらく(b) 国際養子縁組がより現実的な選択肢になるでしょう。そこで今回は、国際養子縁組についてお話します。

養子にできるのは? 

「法律上の問題がない子供」のみ、養子にできます。任意によるか強制によるかを問わず、ある子供が社会福祉開発省(DSWD)の保護下にあり、その証拠としてDSWDの発行した証明書がある場合、その子供は「法律上の問題がない」とみなされます。

養親になれるのは?

フィリピン法上、外国籍の者又は恒久的に海外に居住しているフィリピン国籍の者が、国際養子縁組を申請できます。ただし、以下の基準をすべて満たしている必要があります。

•27歳以上であり、養子になる子供より16歳以上年上であること(ただし、養親が、養子になる子供の実の親かその配偶者である場合は例外)

•既婚者の場合、配偶者も養子縁組の共同申請者であること

•自国の法律に基づき、行為能力並びに親としての権利及び責任の全てを引受ける能力を有すること

•自国の認定カウンセラーによる適切なカウンセリングを受けていること

•背徳的行為のかかわる犯罪で有罪判決を受けていないこと

•自国の法律に基づき、養子縁組をする権利があること

•養子になる子供を含む自分の子供全員に対し、適切な養育及びサポートを提供したり、必要な倫理観及び手本を示せること

•フィリピン法及び国際条約に具体的に示されている子供の基本的権利の保全に同意していること

•(i) フィリピンと外交関係があり、(ii) 政府内に承認及び認定された養子縁組機関があり、かつ (iii) 法律上、養子縁組が認められている国の出身者であること

•適用される法律上の適格性を全て備え、不適格性の該当が一切ないこと

 

養親が作成すべき基本的な書類は?

養親は、以下の書類をすべて用意する必要があります。

•適式に完成させた申請書

•フィリピン異国間養子縁組委員会(ICAB)又は(国際養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約加盟国の)中央当局(CA)の認定を受けた外国養子縁組機関(FAA)が作成した家庭調査報告書

•裏付書類(養親の出生証明書、婚姻契約書、養親の10歳を超える子供達が署名した同意書、身体面及び精神面の評価報告書、直近の所得税申告書及び養親の財務能力を示すその他文書、警察による無犯罪証明書等、養親を5年以上知っている地元の教会/牧師、養親の雇用者及び近隣の住人による人物証明書、養親に養子縁組の資格があること及び養子がその国に合法的に入国し居住できることを証する、管轄権を有する政府機関発行の証明書、並びに、養親、その近親者及び自宅の写真等)

 

申請書の提出先は?

申請書は、養親が居住する国の外国養子縁組機関(FAA)/中央当局(CA)を通じてフィリピン異国間養子縁組委員会(ICAB)に提出します。養親は、フィリピンの裁判所に養子縁組申立書を提出することもできます。申立書に不備がなければ、裁判所はこれをICABに転送し、適切な措置を取らせます。

国際養子縁組の一般的手順は?

国際養子縁組は通常、以下の手順を踏みます。

1. 養親は、自分の居住する国のFAA又はCAに必要書類を提出。

2. 申請書に不備がなければ、FAA/CAは申請を推奨し、養親の人物調査書を作成し、これをICABに送付。

3. 養護委員会は、養子縁組に関する法律上の問題がない子供と養親を、マッチングさせる。養護委員会は、そのマッチング案をICABに送付し、承認を要求。

4. ICABは、そのマッチング案が正当なものであれば、これを承認。

5. 養親は、FAA/CAを通じて、マッチング案を知らされ、これを受けて養親は、その案に関する自身の決断を、FAA/CAに書面で通知。

6. 養親がマッチング案を受け入れた場合、ICABは、養護承認書を発行し、これにより養子は養親の保護下に入る。

7. 養子に必要な出入国書類(査証等)及び渡航書類の手続。その後、養親自身が、養子を引取るためにフィリピンを訪れ、目的国までその養子を連れて行く。

8. 養親と養子は、FAA/CAが監視する監督の下、6ヶ月間、試験的に養護。

9. 養親は、自国で適用される養子縁組法に従った適切な法的手続を自国で行うことにより、養子縁組を確定。養子縁組申立が認められたら、養親は養子縁組決定書をICABに提出。

 

国際養子縁組手続にはどのくらい時間がかかる?

ICABの推計によると、養親の推奨がICABに提出されてから(親戚関係のない)子供の養護が養親に委ねられるまで、稼動日数にして822日から1,457日程度かかると推測されます。
http://www.icab.gov.ph/download/OVERVIEW%20(regular).pdf 参照)

国際養子縁組手続にはかなり長い時間がかかるようですが、養親が子供の出生証明書に生物学上の子供であると記載することはできますか?

これは絶対にやってはいけない行為です!出生に関する偽装行為は、フィリピン法上犯罪であり、懲役刑及び罰金刑の対象となります。また、長期的に見て、政府記録の偽造は、子供にとっても不利益なものでしかありません。たとえば、外国で行う法的手続(帰化手続等)にも悪影響を及ぼす可能性があります。また過去には、生物学上の親が「偽装した親」を脅迫し、子供の保護権を回復するために養親を刑事告訴すると脅してきた例もあります。従って、法律を守り、適切な養子縁組手続に従うことこそが、養子にとっても養親にとっても最大の利益となります。

 

2016/12/22

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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