知っておこうフィリピン法

91回 夜間勤務に関する規則

皆さん、こんにちは。Poblacionです。フィリピンは、世界有数のビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)目的地です。ここ数年、多くのBPO企業が、フィリピンに事業所を開設し、大学を卒業したフィリピン人の若者を数多く採用しています。BPO企業の増加によって、夜間勤務者数も増大しています。その理由は、BPO企業の多くが米国等、フィリピンと時差がある国々の顧客にサービスを提供しているためです。

労働パターンの変化に応じ、夜間勤務者の権利が確実に保護されるよう、政府にはフィリピン労働法の改正が求められました。そこで、政府は2011年、共和国法第10151号(「RA10151」)を制定し、夜間勤務者の保護や、安全性及び福祉を確保するための雇用者の義務について、詳細に定めました。フィリピンで夜間勤務者による業務を必要とする事業を運営している方や、夜間勤務者として働いている方であれば、RA10151の特徴についてご興味をお持ちになるのではないでしょうか

最初に、大事なポイントとして、RA10151の定義によれば、「夜間勤務者」とは、夜10時から翌朝6時までの時間帯に勤務する者のうち、連続する勤務時間が7時間以上に及ぶ者を指します。RA10151は、農業、牧畜業、漁業、海上輸送業及び内水航行業に従事する者を除いた、全夜間勤務者に適用されます。

また、RA10151の重要な特徴の1つとして、女性による夜間勤務の禁止を撤廃したことが挙げられます。従来、女性の夜間勤務は、僅かな例外を除き、フィリピン労働法により禁止されていました。RA10151の制定によりこの禁止は撤廃され、女性による夜間勤務が実質的に可能となり、女性にも男性と同じ雇用機会が与えられるようになりました。

それでは、RA10151に基づく夜間勤務者の権利について見ていきましょう。

【健康評価】
夜間勤務者には、自ら要求して、無償で健康評価を受ける権利及び仕事に関連する健康上の問題を軽減又は回避する方法について助言を受ける権利があります。

【必須設備】
夜間勤務者には、安全で健康的に勤務できる条件と設備を提供しなければなりません。これには、適切な応急処置及び救急用設備、授乳室、男女別トイレ、飲料水のある食事スペース、交通機関及び/又は適切に換気された仮眠又は休憩スペースが含まれます。

【異動】
資格のある医師によって健康上の理由から夜間勤務には適さないと証明された夜間勤務者には、実現可能な範囲で、従事に適した同様の仕事又は職務への異動を求める権利があります。

【報酬及び手当】
夜間勤務者には、有給休暇、休日、夜勤手当、13ヶ月手当等、法律、会社規則又は団体協約に定められた給付を受ける権利があります。

【社会保障】
夜間勤務者には、適切な社会保障が提供されます。

【夜間勤務スケジュール】
従業員は、自ら行動を起こし、夜間勤務スケジュールの詳細について、労働者の代表/労働組合と相談します。相談は定期的に行わなければならず、勤務スケジュールの適切な変更については、実施前の合意が必要です。

なお、女性の夜間勤務者が妊娠中又は育児中の場合は、その間、夜間勤務に代わる仕事に就けるようにする措置を講じなければなりません。こうした措置には、日中勤務への異動、社会保障手当の給付、又は産休期間の延長が含まれます。妊娠中及び育児中の女性は、会社の医師以外の資格のある医師によって、夜間勤務に適していると証明され、安全に勤務できる期間が特定された場合に限り、夜間勤務をすることができます。また、これらの女性労働者が夜間勤務に就けない間に、妊娠、出産又は育児を理由として解雇することはできず、従来の夜間勤務の職に伴っていた地位、年功及び昇進の道に関する利益を奪うこともできません。

性質上、RA10151の違反は、犯罪行為であり、30,000ペソから50,000ペソの罰金及び/又は6ヶ月以上の懲役が科されます。会社が違反した場合、罰則は、当該会社の有責な役員に科されます。
日本とフィリピンにはそれほどの時差はありませんが、フィリピンで夜間勤務者を雇う際にはRA10151に違反しないよう、ご注意下さい。

 

2017/03/09

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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