知っておこうフィリピン法

第99回 英語学校の話

皆さん、こんにちは。Poblacionです。フィリピン人の特徴の1つと言えるのが、英語力に長けていることです。フィリピンの学生は、小学校から大学まで英語を教わります。ビジネスの場や行政機関でも英語でコミュニケーションをする機会が多いです。フィリピンでは、ポップカルチャーも英語が主流です。たとえば、英語の歌を聴いて、ハリウッド映画を見て、英語が使われる外国のテレビ番組を見るのがフィリピン人は好きです。英語は、フィリピン人の日々の暮らしの中で広く使われていますので、フィリピンが、英語を学ぶ教育の場として世界の中心地とみなされることは不思議ではないでしょう。

しかし、フィリピン証券取引委員会(SEC)から最近示された見解が、フィリピン国内に英語学校を設立しようと計画している外国企業にとって、障害となる可能性があります。そこで今回のコラムでは、この見解について探っていきましょう。

株式会社ナイチンゲールという日本企業が、フィリピン子会社(ナイチンゲールフィリピン)設立の過程で、SECにある問い合わせを行いました。同社が希望しているのは、フィリピンのセブ島で、オンラインによる英語教育サービスを運営することです。ナイチンゲールフィリピンは、主にフィリピン国外の外国人向け、特に日本人向けのサービスを提供する予定であり、将来的にはその顧客層を外国人居住者にまで拡大することを考えています。そこで日本のナイチンゲールがSECに照会したのが、100%外国資本である同社が、オンライン英語学校を所有し、管理及び運営することは認められるか、ということでした。 

日本のナイチンゲールは、なぜこのような質問をしたのでしょう。その主な理由は、教育機関の場合、外国資本による所有が制限されているからです。具体的に説明しますと、フィリピン国籍の人、又はフィリピン国籍の人が資本の60%以上を所有している会社でなければ、教育機関を所有することはできない、とフィリピン憲法に規定されています。ただし、宗教団体及び伝道団が設立する学校や、外国の外交官とその家族、又はその他一時滞在する外国人のために設立される学校は、前記規定の例外となります。

英語学習課程の提供は、通常、「実業教育」とみなされます。しかし、外資に対する制限の適用において、語学学校も「教育機関」とみなされるでしょうか。SECの回答は、それは場合次第である、というものでした。正式な「実業教育」を行っているか否かの判断について、SECは、技術教育技能教育庁(TESDA)の見解を引用し、2種類の語学学校について、以下のとおり区別しました。

・非公式な有料のオンライン教育指導を通じて、英語のスキル向上を希望する海外にいる外国人生徒のみを対象にサービスを提供する内国会社であって、修了したオンライン生徒に対して履修証明書や課程修了の学位を一切発行しない会社。このような会社は、正式な実業教育又は研修活動を行っているとはみなされません。

・有料の英語学習プログラムを提供し、修了した生徒に履修証明書又は課程修了の学位を発行している内国会社。このような会社は、正式な実業教育を行っているとみなされます。これは、サービスがオンラインで提供されるか、通常の教室という環境で提供されるかにかかわらず、生徒が外国人であるかフィリピン人であるかも問いません。

以上により、SECは、ナイチンゲールフィリピンが生徒達に履修証明書又は課程修了の学位を発行するのであれば、正式な「実業教育」を行うものとみなされ、よって、「教育機関」と判断される、との見解を示しました。その場合、40%以下という外資の所有制限が課されることになります。実際のところ、ナイチンゲールフィリピンが当初外国人のみを対象とするのかどうか、フィリピン経済特区庁に輸出企業として登録されるのかどうか、あるいはオンラインでサービスを提供するのかどうかなどという点は、あまり重要ではないのです。ナイチンゲールフィリピンが教育機関に分類されている限り、国籍制限に従うことが必要です。

フィリピン国内に英語学校を設立したいと考えている外国企業には、今回の見解から学ぶところがあります。外国企業が、フィリピン国内に会社を設立して英語研修を行ったり、英語試験に向けた準備として復習サービスを提供したりすることは認められますが、課程修了時に履修証明書や学位を発行することは認められません。これらを発行すると、「教育機関」とみなされますので、40%以下という外資の所有制限を遵守するために、フィリピン国籍を有するビジネスパートナーと提携することが必要になるでしょう。

2017/05/08

*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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