知っておこう台湾法

第208回 妻にLINEを盗み撮りされ、漏えいされた場合の法的責任について

 最近、妻にLINEを盗み撮りされ、内容漏えいされた夫が、妻を秘密妨害罪で訴えるという特殊な事件が発生した。概要は以下のとおりである。

愛人の存在疑う

 妻はガイドの仕事でたびたび家を留守にする夫に愛人の存在を疑い、内緒で夫のパソコンを開いたところ、夫のLINEの中に夫と特定の女性との親密そうな写真と性的内容をにおわせる会話があることを発見した。妻がその写真と会話を写真に撮り、調査会社に提供して夫の素行調査を依頼したところ、夫が当該女性と不倫関係にあることが判明した。妻は夫を姦通罪で告訴することで告訴状を提出。検察官は調査を行った上で、最終的に夫と当該女性の姦通行為について公訴を提起した。

 これに対し夫は、妻にLINEの内容を盗み撮りし、漏えいする権利はないと考え、妻に対し秘密妨害罪で刑事告訴を行った。これについて、検察官は以下の理由に基づき、妻を不起訴処分とした。

「故あり」と判断

1.刑法第318条の1には「故なく、パソコンまたはその他の関連設備を利用して知り得た、または保有する他者の秘密を漏えいした場合、2年以下の有期懲役、拘留または5,000台湾元以下の罰金に処することができる」と規定されている。夫婦双方は婚姻を維持する忠実義務を有するため、妻が夫の不貞を疑い、疑念を取り除くために夫の私的領域を侵す場合、婚姻時の貞操を守るために行った必要な努力であると見なされるべきである。

2.本件において、妻が夫のLINEを盗み撮りし、調査会社に提供した行為は、その目的が夫に愛人がいる事実を確認するためであって、「故なく」ではないため、刑法第318条の1の犯罪要件に該当しない。

 実務においては、男女間の愛情等の各種紛争により、相手のLINE等の通話内容をネット上に公表し、または第三者に提供して、刑法第318条の1に違反する事件がかなり多いため、違法とならないよう特に注意する必要がある。

2017/10/23

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

 

(本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに執筆した連載記事を転載しております。)