知っておこう台湾法

第229回 トイレットペーパーの乱、RTマートに過料350万元

 公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)は3月14日、量販店大手、大潤発(RTマート)に対し、公平交易法第25条違反を理由として、過料350万台湾元(約1,300万円)を科した。

 本件概要は次の通りである。

 2月下旬、台湾の主要メディアは次々と「トイレットペーパー・ティッシュペーパーの原料、パルプの大幅な価格高騰により、トイレットペーパー・ティッシュペーパーの販売価格が3月から30%以上値上がりする見通しだ」と報道した。この報道は、市民のパニックを引き起こし、トイレットペーパー・ティッシュペーパーが次々と買い占められ、各実店舗およびインターネットショップの在庫が全て一掃され、空になる現象を引き起こした。メディアはこれを「トイレットペーパー・ティッシュペーパーの乱」と名付けた。

販促目的で誤誘導

 公平会の調査の結果、上記メディアの情報の出どころは、RTマートが2月23日に各メディアに携帯電話および電子メールで送信した情報と分かった。その内容は「トイレットペーパー・ティッシュペーパーの30%値上がりが確定…売り場の業績は5倍に急上昇」などであった。しかし、公平会がトイレットペーパー・ティッシュペーパーの主要供給業者に対して調査を行ったところ、各供給業者は当時、値上げするかまだ決めておらず、 RTマートがそうした情報をメディアに送信したのは、販売促進計画のためであったことが発覚した。

 従って、RTマートは真実性の証明されていない値上がり情報の発表を販売促進手段とし、同業者との競争メカニズムを破壊し、また短期間において消費者の買い占めを引き起こした。これにより製造業者、その他のスーパーマーケット・量販店、消費者、市場のいずれもが不当にかき乱されたため、公平交易法第25条(本法に別途規定のある行為のほか、事業者は取引秩序に影響を及ぼすに足るその他の欺瞞または明らかに公正を欠く行為も行ってはならない)に違反していると公平会は判断し、同法第42条に基づき、当該会社に対し過料350万元を科した。

 台湾では事業者がメディアを通じてニュースを発表する方法により販売促進などの販売活動を行うことはよく見られる。ただし、メディアの報道によって引き起こされる効果は通常コントロールすることが難しいため、メディアに対して操作を行う前に、違法とならないよう、先にメディアに対する操作を行ったことのある弁護士にリスクを評価してもらうことをお勧めする。

2018/04/02

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

(本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに執筆した連載記事を転載しております。)