知っておこう台湾法

 第258回 株式会社における董事会・監査役の不設置

 今年7月6日、改正会社法が可決され、11月1日に施行されました。株式会社は従来、董事会を設置し、3人以上の董事を置かなければならないと規定されていましたが、改正会社法第192条第2項により、定款に定めることで、董事会を設置せず、董事を1人または2人とすることが可能となりました。ただし、株式公開発行会社については、証券取引法第26条の3第1項により5人以上の董事を置かなければならないと規定されているため、董事の人数を4人以下とすることはできません。

完全子会社は監査役も排除可能

 従来より、会社法第128条の1第1項では、「1つの行政機関株主または法人株主により組織される株式会社」(以下、「完全子会社」)については、「株主総会の職権は董事会が行使し、本法の株主総会に関連する規定は適用しない」とされていました。

 そして、今回の改正により新設された改正会社法128条の1第2項において、完全子会社は、定款に定めることにより、董事会を設置せず、董事を1人または2人とすることが可能である旨、明記されました。

 さらに今回の改正では、同条第3項が新設され、完全子会社は、定款に定めることにより、監査役を置かないことも可能となりました。これは、完全子会社の場合、1人の株主が董事の人選について完全な決定権を有しており、また、保護すべき他の株主が存在しないことから、監査役の設置に実益が無いという考えに基づくものです。

 これに対し、株主が2人以上存在する株式会社については、株主の権益を保護するため、監査役の設置義務を排除することができません。

董事会・董事長に関する規定適用

 改正会社法第192条第2項または第128条の1第2項に基づき、董事を1人とする場合、当該董事が董事長となり、会社法の董事長に関する規定が適用されるほか、会社責任者または会社を代表する董事を処罰する規定なども適用されます。もっとも、董事会が設置されないため、董事会の職権は当該董事が行使し、会社法の董事会に関する規定は適用されません。

 これに対して、董事を2人とする場合には、会社法の董事会に関する規定(董事会の招集や董事長の選任に関する規定など)が準用され、選任された董事長については、会社法の董事長に関する規定が適用されます。

2018/11/12

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

 

(本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに執筆した連載記事を転載しております。)