東京弁護士コラム

第13回 合弁契約の留意点

新会社(合弁会社)設立のための合弁契約締結交渉の経験から、合弁契約の中でも特に重要な条項、及び重要だが以外に注意が払われていないと感じられる条項について、以下の通り説明します。

1.株式(持分)の比率
合弁会社について、日本法を設立準拠法とする場合、一般的な株式の比率の目安は、3分の2、過半数、3分の1とされています。しかしこの目安は国によって異なる場合がありますので、海外合弁事業の場合、会社の設立準拠法によっては、注意が必要です。なお、日本法を設立準拠法とする場合、持分法適用会社という観点から、20%(ケースによっては15%)が目安となる場合もあります。
また、外国法人(この場合日本法を設立準拠法とする場合には外国法人、外国法を設立準拠法とする場合には日本法人を意味する)が取得できる株式(持分)の比率が、国・地域及び投資分野によっては制限されている場合がありますので、この点にも注意が必要です。
なお、設立される会社(日本法人、外国法人を問わない)の種類によっては、株式(持分)の比率が議決権とは必ずしも比例しない場合があることにも注意が必要です。言い換えれば、このような会社の場合、過半数の株式(持分)を保有していたとしても、設立される会社の種類によっては、保有する議決権数が過半数にはならない場合があります。

2.合弁会社の秘密情報
管理等の観点から、親会社が秘密情報の開示制限から除外されるケースは少なくありません。これは合弁会社の場合にも同じことが言えます。しかし、合弁会社の秘密情報は合弁当事者から受領したものである(ノウハウ等)ケースもあり、この場合には、他の合弁当事者も秘密情報の開示制限から除外していいかについて、慎重な検討が必要です。当該秘密情報がある合弁当事者の営業秘密に当たる場合や、ある合弁当事者と他方の合弁当事者が競合する場合には、特に慎重な検討が必要です。
また、合弁会社の取締役は合弁会社の秘密情報に接することができますが、当該取締役は合弁当事者から派遣されているケースが多いため、結果として合弁当事者が合弁会社の秘密情報を利用できる状況になることもあります。しかし、当該情報を合弁当事者の利益のために利用する場合、合弁当事者から派遣されている合弁会社の取締役の善管注意義務違反が問題となる可能性もあります。そのため、この観点からも合弁会社の秘密情報の定義、例外及び関連義務の規定には、慎重な検討が必要になります。

3.解除

合弁会社が長期間存続するケースももちろん少なくありませんが、他方で比較的短期間で解散されるケースもあります。というのは、合弁事業者の需要に応じて合弁会社が設立されたが当該需要がなくなった場合や、合弁当事者間の利害が対立した場合など、通常の会社よりも解散が必要になるケースが少なくないと言えるからです。そのため、合弁会社の解散の場合の取扱いについて、規定が必要になります。
規定を検討すべき内容としては、解散事由のほか、解散に際しての合弁会社の財産(知的財産権を含む)・ライセンス・在庫・製造設備・顧客等の処理が考えられます。というのは、これらがもともと合弁当事者から提供されていたり、合弁会社の解散後、合弁当事者が合弁会社の事業を引き継ぐケースが少なくないからです。

以上

2019/01/31

*本記事は、法律に関連する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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執筆者

弁護士  尾上 由紀