台湾の二大KTV業者の結合申請 4回目の却下

公正取引委員会は8月21日、台湾の上位2社のKTV(カラオケ)業者である「銭櫃」および「好楽迪」の結合申請を却下した。これは銭櫃および好楽迪の4回目の結合申請であったため、台湾の社会の注目を集めた。

まず、企業の「結合」とは、公正取引法第10条第1項によれば、以下の五種類のいずれかの状況を指す。

一、他の事業者と合併する場合。
二、他の事業者の株式若しくは出資額を保有または取得し、他の事業者の議決権付き株式総数または資本総額の三分の一以上に達する場合。
三、他の事業者の営業若しくは財産の全て若しくは主要な部分を譲受または賃借する場合。
四、他の事業者と経常的に共同経営しまたは他の事業者の委託を受けて経営する場合。
五、他の事業者の業務経営または人事任免を直接若しくは間接的に支配する場合。

なお、銭櫃および好楽迪の結合事案は上記の二及び五に該当する。

このほか同法第11条第1項の規定によれば、企業が結合により以下のいずれかの状況に該当する場合、主管機関(公正取引委員会)の許可を得なければならない。

一、結合により事業者の市場占有率が三分の一に達する場合。
二、結合に参加する一事業者の市場占有率が四分の一に達する場合。
三、結合に参加する事業者の前会計年度の売上額が主管機関の公告する金額を超える場合(業種により金額は異なる)。

なお、銭櫃および好楽迪の結合事案は上記一及び二に該当する。

次に、申告すべき結合事案について申告していない場合、同法第39条により、主管機関はその結合を禁止することができ、期限を定めて事業者の分離、株式の全て若しくは一部の処分、一部の営業の譲渡、担当職務の免職を命じ且つその他の必要な処分を行うことができ、且つ二十万台湾元以上五千万台湾元以下の過料に処すことができる。

メディアの報道によれば、公正取引委員会が銭櫃および好楽迪の結合事案の申請を却下した主な理由は以下の通りである。

一、銭櫃および好楽迪は市場における上位2社のKTV業者であり、結合すれば、KTV市場の自由競争機能に損害を与えることになり、かつ消費者が結合後の事業の値上げ行為に対抗することができない。
二、レコード会社、伴奏付歌唱製品業者、音楽著作権管理団体、消費者保護団体なども本結合事案に対して懸念を示している。

実務上、多くの業者が企業合併等の方式を通じて事業を拡大している。そこで、企業合併を行う前には、違法となることを避けるため、公正取引委員会に申告しなければならない結合事案に該当するかについて特に留意する必要がある。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修