弁護士を目指したきっかけは何でしょうか?

もともと弁護士になるつもりではありませんでした。
一旦社会人になってから、父の経営していた会社を手伝うことになったのです。
そこで父に、何か資格を取れといわれたのがきっかけになったと思います。
その時もすぐに司法試験の勉強を始めたわけではありませんでした。何の資格を取ろうかと考えていた時に、司法試験の勉強を始めていた友人から予備校の講義を録音したテープを聞かせてもらい、それが面白かったので司法試験を始めてみようと思いました。
その講義の内容は、民法の賃貸借でした。
『貸主は借主に賃貸物を使用収益させる義務がある、借主は貸主に使用収益の対価として賃料を支払義務がある』という契約関係を権利と義務で整理するという考え方がとても興味深かったことを覚えています。
法学部出身者では当たり前のことだったかもしれませんが、経済学部では法律の勉強をする機会はほとんどなかったので興味を持ったのかもしれません。
司法試験の勉強を始めるとすぐに、試験科目も試験スケジュールも調べないまま願書を出していました。
当時の司法試験には二科目の選択科目がありましたが、先に司法試験の勉強をしていた友人の勧めに従い、刑事訴訟法と刑事政策を選択していました。
今にして思えば、コーポレートロイヤーが選択する科目ではありませんね。

株主総会指導、取締役会対応、各種第三者委員会等のコーポレート分野に注目されたきっかけと弁護士としてのやりがいはどのような点でしょうか?

司法修習生の時に、株主総会を題材とする小説や、某百貨店の社長を取締役会の動議で解任する事件の小説を読み、会社法、とくにコーポレート分野に興味を持ちました。
弁護士登録してからも幸いにして、そのような案件を取り扱う機会を得て、上場会社のダイナミックな経営判断についてアドバイスしたり、同族会社の支配権争いについてアドバイスするなど、会社法の知識を前提に経営者と一体となって、あるときは経営者とは一線を画しながら結果を出すことができました。
株主総会の指導に行ってみると、著名な会社の経営者が株主総会の運営に悩んでいる姿を目の当たりにしたり、敵対的買収の相手方が出席する株主総会の対応を担当する機会を得るなど貴重な経験をしてくることができたと思います。
もちろん、案件の結論についてクライアントに喜んでもらえることが一番のやりがいです。
それだけでなく、コーポレート分野を扱っていると表に出ることは少ないかもしれませんが、社会的に注目される大きなディールを成立させることができたり、社会的には注目されなくても当該会社として重要な意思決定に関わることができることもこの分野を扱ってきた弁護士としてのやりがいを感じます。

社外取締役・社外監査役の仕事をするうえで、心がけていることと一番大切にしていることは何でしょうか?

基本的には、業務執行役員の経営判断を尊重しており、細かいことに口を出すことはしていません。
しかし、発生した事象のリスク認識だったり、意思決定しようとしている事項の調査に不十分さがあれば積極的にコメントするようにしています。「それではだめだ」ということは簡単ですが、ではどうすれば良いのか代替案や異なる選択肢を示すことに心がけています。
また、会社を巡るリスク感覚や特に近年のコーポレートガバナンスに対する投資家の考え方は大きく変わっていますので、常に最新の情報を得て、昨日の常識が明日にはあてはまらないことを意識して、これを会社の経営幹部に伝えるように心がけています。
他方、経営幹部にとって耳の痛いことであっても指摘しなければならないこともあります。これは社外の役員の責任だと考え、信念に基づいて指摘することにしています。
これからも社外取締役・社外監査役に求められることはますます増えてくると思いますが、守りのコーポレートガバナンスだけでなく、攻めのコーポレートガバナンスに関与することを心がけていきたいと思います。

黒田法律事務所の特徴・印象をお聞かせください。

大手法律事務所ほどの人数はいませんが、日本人弁護士の他、外国人弁護士も多数所属しており、且つ、海外にも複数の拠点がある国際色豊かな、知的財産権にも強い法律事務所といえると思います。
また、ホームページに取り扱い分野に関するコラムを掲載し、セミナーを開催するなどクライアントに有益な情報提供することにも熱心な法律事務所です。
黒田弁護士と初めて案件を一緒に扱ったのは2004年頃だったと思います。海外案件について、黒田弁護士にたいへん熱心且つ、迅速に対応していただき、クライアントも結果に納得のできる結論を導いて頂きました。
これをきっかけに、中国案件をはじめとする海外案件、知的財産権を扱う黒田弁護士とコーポレート分野を扱うわたしと交流が続き、2018年9月に黒田法律事務所に参画させていただく事になりました。
黒田法律事務所の強みの海外案件、知的財産権にコーポレート分野も加えて、より存在感のある法律事務所を目指してまいりたいと思います。