第383回 台湾の会社は年に複数回利益配当できるか
台湾の会社において以前は、利益配当は1年に1回しか行えず、かつ株主総会における決議を経なければなりませんでした。現在は、1年に2回または4回利益を配当することができるようになり、かつ董事会における決議を経るだけでよく、株主総会を開催する必要はなくなりました。
台湾の会社法第228条の1第1項では、「会社定款において、利益分配または損失補填は会計年度の各四半期または各半期の終了後に行う旨を定めることができる」とされています。そのため、利益配当を年に1回から年に2回または4回にしようとする場合、まず、定款の修正が必要となります。
半期ごとに配当する場合
定款の「会計」の部分について、「当社の利益分配または損失補填は、会計年度の各半期の終了後に行う」、および「当社の会計年度の上期において利益分配または損失補填の議案がある場合、会計年度の下期が終了するまでに営業報告書および財務諸表と共に監査役に提出して監査を受けた後、董事会の決議に付さなければならない」を追記する必要があります。
四半期ごとに配当する場合
定款の「会計」の部分について、「当社の利益分配または損失補填は各四半期の終了後に行う」、および「当社の第1四半期から第3四半期までにおいて利益分配または損失補填の議案がある場合、次の四半期が終了するまでに営業報告書および財務諸表と共に監査役に提出して監査を受けた後、董事会の決議に付さなければならない」を追記する必要があります。
また、利益配当を年に1回、2回、または4回することにかかわらず、各会計年度の終了時に、董事会は営業報告書、財務諸表および利益分配または損失補填の議案を作成して定時株主総会に提出して承認を求める必要があります。
年に2回または4回で利益配当できる新制度は2018年年末から採用が可能ですが、それを知らない外資企業はまだ多いようです。新制度に切り替えたい場合、詳細な手続きについて、現地の法律および会計の専門家に相談することをお勧め致します。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。