第446回 台湾における医療機器の広告規制について

台湾において、医療機器の広告は細かく規制されています。医療機器に関する法律である「医療器材管理法」は2020年1月15日に公布され、21年5月1日から施行されています。そのうち、第五章「医療機器の広告管理」に注目します。

医療機器の会社であるか

医療機器の広告とは、医療機器の販売を呼び込む目的を達成するためにマスコミの方法を利用して治療効果を宣伝する行為を指し、インタビュー、報道または宣伝の内容が、医療機器の販売を呼び込む目的を達成するために医療機器の治療効果を暗示し、またはほのめかしている場合も医療機器の広告とみなされ、医療機器会社ではない者は、医療機器の広告を行ってはならず、医療機器でない場合には、治療効果の表示または宣伝を行ってはならないとされています。

事前審査、許可証が必要

医療機器会社が医療機器の広告を掲載・放送する場合、掲載・放送前に許可証の所有者が広告の全ての文言、絵図または言葉をもって、医療機器会社の登記地の地方自治体の主管機関に掲載・放送の許可を申請しなければなりません。許可を得た後、マスコミ業者に許可文書を送付した上ではじめて掲載・放送することができます。

広告内容、形式に規定

医療機器の種類によって規制が変わります。例えば使い捨てコンタクトレンズの広告を掲載・放送する場合、広告中に必ず所定の警告を注記しなければなりません。▽「装用する際は、眼科医で検眼してもらい処方箋を取得するかまたは検査スタッフに検眼してもらい度数測定書を取得し、かつ、定期的に眼科医で追跡検査を受けなければならない」、▽「感染または潰瘍を防ぐため、説明書で推奨された最長装用時間を超えて装用してはならず、繰り返し装用してはならず、就寝前に必ず取り外さなければならない」──等の内容です。

また、上記警告の形式も規定されています。例えば、▽「全面の5分の1に当たる連続する独立したスペース」、▽「字体が占めるスペースは警告の背景のスペースの3分の2を下回ってはならない」、▽「音声のみの広告の場合、その警告が占める時間は広告時間全体の5分の1より短くなってはならない」──等です。

医療機器の広告規制に違反した場合、過料、許可証の廃止、社名の公布等の処分が科される可能性があります。よって、医療機能を有する可能性がある商品を台湾で宣伝したい場合には、事前に、合法性について現地の法律専門家への相談をお勧めいたします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。