第466回 ネット購入品は無条件で返品できるのか?

スマートフォンやパソコンでのインターネットショッピングでは実物を見ることや体験することができないので、消費者がよく考えずに非理性的な消費を行わないようにするため、消費者保護法(「本法」といいます)第19条第1項では「通信取引または訪問取引における消費者は、商品を受け取ってからまたはサービスを受けてから7日以内に、商品を返却することまたは書面で通知することにより、契約を解除することができ、理由を説明することおよび何らかの費用または対価を負担することを要しない」と規定し、インターネットで買い物をする消費者に、商品受取後7日以内に無条件で返品する権利を与えています。

中国語で俗に「7日間の鑑賞期間(クーリングオフ)」といいます。

クーリングオフ対象外

もっとも、本法第19条第1項ただし書は「合理的な例外事由がある場合、インターネットショッピングで購入した商品を無条件で返品することはできない」と規定しています。

いわゆる「合理的な例外事由」について、通信取引解除権の合理的な例外事由の適用準則第2条によりますと、下記の事由のいずれかに該当し、かつ企業・事業者から消費者に告知がなされている場合、本法第19条第1項の解除権の適用を除外するとしています。

一、腐敗しやすいもの、保存期限が短いもの、または解約の時点で間もなく保存期限が過ぎるもの。例えば牛乳、肉類など。このような製品は保存期限がおおむね7日より短く、返品された後では既に他者に再販売するのは不適切です。

二、消費者の要求に基づいて行うカスタマイズ商品。例えば消費者の指定に基づく姓名印の作成、名刺の作成など。このような製品は返品された後、メーカーが他者に販売することはできません。

三、新聞、定期刊行物または雑誌。このような商品は高度な時効性を有し、期間が経過した後、商品価値はほぼなくなってしまいます。

四、消費者により開封された映像音声商品またはPCソフトウエア。例えば映画のブルーレイDVDなど。このような製品は開封された後、すぐに閲覧または複製が可能な状態となり、無条件の返品を認めれば、間違いなく投機行為を奨励することになります。

五、有形の媒体により提供するものではないデジタルコンテンツまたはひとたび提供すれば完了するオンラインサービスで、消費者から事前の同意を得て初めて提供するもの。例えばグーグル・プレイで料金を支払ってダウンロードした携帯電話のアプリケーション(アプリ)など。上記四と同様に、このような商品について返品を認めれば、かえって売主に対する不公平を生むことになります。

六、開封済みの個人衛生用品。例えばかみそり、トイレットペーパーなど。このような製品は通常、衛生に配慮して密封されており、開封された後に再販売する場合、衛生上の問題が生じます。

七、国際航空旅客運送サービス。例えば航空券など。このような商品は国際的な慣行によれば、チケットの払戻時に払戻費用が発生するため、無条件で返品することはできません。

対象外は明記が必要

貴社がインターネットで販売する商品が上記の七つの例外のいずれかに該当する場合には、販売サイトにおいて「本商品には消費者保護法第19条第1項の7日間の鑑賞期間の規定は適用されません」という旨を明記するようにしてください。明記しない場合、消費者の返品権を排除することができなくなります。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。