第483回 企業結合の例外事由
公平交易法(日本語:公正取引法)第10条第1項によれば、以下の場合などには公平交易法が規制する「結合」に該当します。
ⅰ会社が他の事業者と合併する場合。
ⅱ他の事業者の株式または出資額を保有または取得し、他の事業者の議決権付き株式または資本総額の3分の1以上に達する場合。
ⅲ他の事業者の営業または財産の全部または主要部分を譲り受けまたは賃借する場合。
そして、同法第11条第1項によれば、事業者が結合する際、結合により事業者の市場占有率が3分の1に達する場合等は、事前に公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)に申告しなければなりません(詳細については、第323回の本コラムをご参照下さい)。
第323回 事業者結合申告を行わない場合の処罰
https://www.ys-consulting.com.tw/news/88706.html
申告不要な場合
しかし、同法第12条では例外が規定されており、以下の場合には、公正取引委員会に申告する必要はありません。
(1)企業結合に参加する事業者またはその完全子会社が、すでに他の事業者の議決権付株式または出資額の100分の50以上を有している場合に、当該他の事業者と結合する場合。
(2)同一事業者に議決権付株式または出資額の100分の50以上を保有されている複数の事業者が結合する場合。
(3)事業者が、その営業、財産の全部もしくは主要部分または独立して運営することができる営業の全部もしくは一部を、当該事業者が単独で新たに設立した他の事業者に譲渡する場合。
(4)事業者が、会社法第167条第1項但書または証券取引法第28条の2の規定に基づき、株主が保有する株式を買い取り、これによりその従来の株主が、他の事業者の議決権付株式もしくは出資額の3分の1以上を保有しまたは取得する場合。
(5)単一の事業者が、再投資のため子会社を設立することにより当該子会社の株式または出資額の全部を取得する場合。
(6)その他、公正取引委員会が公告した類型。
また、上記(6)に関し、公正取引委員会は、以下の類型を公告しており、このうち、⑤は、2023年6月28日に新たに公告されました。
①事業者が、すでに支配従属関係にある他の事業者と結合する場合。
②事業者が他の事業者と結合する場合に、当該他の事業者が同一の支配事業者の従属事業者である場合。
③事業者が、その保有する第三者が議決権を有する株式もしくは出資額の全部または一部を、その支配従属関係にある他の事業者に譲渡する場合。
④事業者が、その保有する第三者が議決権を有する株式もしくは出資額の全部または一部を他の事業者に譲渡する場合で、当該他の事業者が同一の支配事業者の従属事業者である場合。
⑤外国事業者が我が国の領域外において合弁事業者を共同で設立または運営し、かつ当該合弁事業者が我が国の領域内で経済活動に従事しない場合。
公平交易法第11条第1項(結合に関する事前申告義務)に違反した場合、同法第39条第1項により5000万台湾元(約2億2000万円)以下の過料など重い罰則があるため、結合に該当し得る行為を行う場合、事前に専門家に相談する等して慎重に対応することをお勧めいたします。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。