第539回 比較広告における注意事項

公正取引法第21条第1項では、「事業者は商品もしくはその広告において、またはその他公衆に周知させる方法により、商品に関連し取引の決定に影響を及ぼすに足る事項について、虚偽・不実のまたは誤認を生じさせる表示または標示をしてはならない」と定められています。

従って、台湾で「比較広告」を制作し、類似商品を比較評価する方法で自社の商品の販売を促進しようとする場合、最も重要なのは、公正かつ客観的で比較基準が適切な方法によらなければならず、また、誤った不実の情報を提供してはならないということです。

違法の判断基準

公正取引委員会は「公正取引委員会の比較広告事案に対する取扱いの原則」を公表し、下記の違法となるいくつかの類型を示しています。

1.自身またはほかの事業者の商品(サービスを含む、以下同)について虚偽・不実のまたは誤認を生じさせる表示または標示をしたとき。

2.新旧の商品またはグレードの異なる商品を比較したとき。

3.同一の商品の比較において異なる基準または条件を用いたとき。

4.比較として引用した資料の出処が客観性を有さず、公認の比較基準を欠いており、または引用資料について不適切な略述もしくは説明をしたとき。

5.実証または検証されていない比較項目について、疑わしい、臆測による、主観的な陳述で比較を行ったとき。

6.ある一部分が優れていることにかこつけて全体的に優れていると主張する比較をし、または、比較項目について、自身のほうが優れている項目のみを明示し、ほかの事業者のほうが優れている項目を故意に無視することにより、全体的な印象として不公平な比較結果を生じさせたとき。

7.比較する商品の効果の表示に、科学的な学理または実験の根拠がないとき。

8.その他重要な取引の事実について虚偽・不実のまたは誤認を生じさせる比較行為をしたとき。

「比較広告」を制作しようとする場合には、上記の事項に違反しない前提で制作しなければなりません。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。