第97回 2017 年投資優先計画

皆さん、こんにちは。Poblacionです。フィリピンでビジネスをしたいとお考えの企業の方に、朗報です!2017年2月28日、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、主要な経済政策措置、すなわち2017年投資優先計画(IPP)について承認をする、通達第12号に署名しました。

IPPはどうして重要なのか、と疑問に思われますか? IPPは、現政権の経済政策や優先事項に関するヒントを投資家に与えてくれます。つまり、IPPには、オムニバス投資法に基づき経済的奨励措置やその他奨励措置を享受できる経済活動が、特定されています。こうした奨励措置には、平均で4年から6年認められる所得税免税、税額控除及びその他免税が含まれます。

2017年IPPには、より広範囲の人々、特に地方の人々にも、経済成長の恩恵が行き渡るようにしたいというドゥテルテ政権の意図が反映されています。実際、2017年IPPの規定によれば、優遇される活動に関する一部のプロジェクトについて、首都圏マニラ以外の場所であることを条件とする、という登録基準が定められています。2017年IPPが、以前のIPPとさらに大きく異なる点として、以下の記載が含まれていることが挙げられます−「零細・中小企業に重点をおき、イノベーション主導で、衛生面と環境に配慮した活動であって、より幅広い層の人々の雇用機会を拡大し、より多くの企業を地方及び世界のバリューチェーンに取り込むことを目指す活動」

以下に、投資奨励措置の基準を満たし、優遇される活動についてまとめます。

1. 基準を満たす全製造活動(農産品加工を含む) 工業品の製造又は農産物及び水産物の加工により、(i) 半製品/中間品、又は (ii) 最終的に消費される完成品もしくは消費財を生産する活動のこと。これには、機械、装置及びプレハブ住宅コンポーネントの製造も含む。

2. 農業、漁業及び林業

3. 戦略的サービス 以下を含む − (i) 集積回路設計、(ii) 創造産業/ナレッジベース・サービス(コンタクトセンター、データ・アナリティクス、動画制作、及びソフトウェア開発等)、(iii) 航空機の保守、修理及び整備、(iv) 代替エネルギー自動車用充電/燃料補給ステーション、(v) 産業廃棄物処理、(vi) 電気通信(ただし、新規参入企業に限定)、(vii) 工業プラント及びインフラの最先端工学、調達及び建設。

4. 医療サービス(薬物更生施設を含む)

5. 集合住宅 以下を対象とする − (i) 1ユニットあたり2百万ペソを上限価格とする集合住宅ユニットの開発、及び (ii) 賃貸用の市内低価格住宅供給プロジェクト。

6. インフラ及び物流 国の経済発展及び繁栄に不可欠な物理的インフラ(空港、海港、航空/陸上/海上輸送、及び国内の工業地帯等)の構築及び運営を指す。

7. 革新の牽引 以下を対象とする − 研究開発(R&D)活動、臨床試験の実施、センター・オブ・エクセレンス、イノベーション・センター、ビジネスインキュベーション・ハブ及び製作研究所/共同作業スペースの構築。

8. インクルーシブ・ビジネス(IB)モデル 以下を対象とする − 農業関連事業及び観光事業における中規模・大規模企業が、零細・小規模企業(MSE)に対してバリューチェーンの一部としての事業機会を提供する事業活動。

9. 環境又は気候変動関連プロジェクト エネルギー、天然資源もしくは原材料の効率的使用、汚染防止又は温室効果ガス排出の削減に貢献する商品の製造・組立、及び施設の建設を指す。

10. エネルギー 従来の燃料、廃熱及びその他廃棄物を利用した発電プロジェクト並びに電池電力貯蔵システムの構築を対象とする。

前記に加え、従前のIPPと同様に、以下の経済活動に奨励措置が与えられることには変わりありません − (i) 輸出活動、(ii) フィリピン鉱業法(共和国法第7942号)及び再生可能エネルギー法(共和国法第9513号)等、奨励措置を認める特別法に基づく活動、及び (iii) イスラム教徒ミンダナオ自治地域(ARMM、すなわち主にイスラム教徒が住む地方から成るフィリピン国内の地域)で実施されている一部の経済活動。

ただし、2017年IPPは承認されましたが、フィリピン投資委員会は今後、2017年IPPの実施に必要な規則を制定する必要があります。これには、同法に基づき与えられる優遇措置を享受するための資格及び要件が含まれます。

新たなIPPが制定されたことから、日本を含む外国からの投資において優先される分野がさらに明確になっています。新たなIPPが、外国投資家のみならず、外国からの直接投資の恩恵を享受できる地域社会にとっても、さらに大きな経済的機会をもたらすものとなることを期待します。


*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。 また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。 フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。