外国人の台湾入国制限の緩和
台湾の行政機関である内政部は8月16日、外国人の出入国及び居留・定住に関する制限を大幅に緩和する、入出国及び移民法の改正案を承認した。
今回の法改正は人材不足の問題に起因するものである。外国人が台湾において投資、就労、定住をしたくないと考える主な理由の一つとして、これまで台湾のメディア、世論、また多くの台湾の学者及び外国人からは、台湾が外国人の出入国及び居留制限について厳しすぎることが指摘されてきた。そこで、台湾内政部は優秀な国外の人材を呼び寄せることを目的として、8月16日に、入出国及び移民法における関連条文を改正した。主な改正点は以下の通りである。
- 現行の入出国及び移民法第22条第2項により、外国人は入国後15日以内に内政部入出国及び移民署に対し外国人居留証を申請しなければならないとされていたが、この申請期限が15日から30日に緩和された。
- 現行の入出国及び移民法第33条第4項においては、永住許可を受けている外国人が台湾を出国した場合、就学、加療又はその他の特別な理由により内政部入出国及び移民署の同意を受けている場合を除き、年間の台湾居留日数が183日に満たない場合には内政部入出国及び移民署はその永久許可を取り消し、かつその外国人永住証を抹消すると規定されていた。しかし、改正案ではこの規定が削除されたため、改正案の施行後は台湾における外国人の居留がより融通性の高いものとなる。
- 外国人は、就業PASSカード(就業PASS卡:①ビザ、②就労許可証、③外国人居留証、④)再入境許可証の全ての法的な効力をもつ証書)または、その他外国人居留証の機能を含む証明書を持参して入国すれば、外国人居留証の申請を別途行う必要はないという規定が追加された。
- 外国人の投資家、専門家又は特別な貢献をした者は、台湾政府の特別審査を通過しさえすれば永住権を取得することができるという規定が追加された。
本改正案は近日中に台湾行政院で認定された後、立法院の審議を経て施行される予定である。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は、当事務所にご相談ください。
【執筆担当弁護士】