台湾会社法の大幅な改正予定について

経済部は本年(2017)2月14日、会社の経営の柔軟性を高めるとともに、新規事業のニーズをより満たすために、段階的に現行の会社法の規定を大幅に改正することを公表した。

改正の方針は以下のとおりである。

外国企業による台湾投資の利便性を高める。

現在、外国の会社が台湾において支社を設立する場合、主管機関の認可を取得しなければならず、また、中国語の社名で支社の登記を行わなければならないが、改正後は認可制度を廃止し、外国語の社名で登記を行うことも可能となる。

手続きのIT化。

現行の会社法によると、株主総会はテレビ会議または電話会議の形式で開催してはならないが、改正後はこの制限が廃止される。このほか、現在、会社の設立登記または変更登記の申請にあたり、いずれも紙ベースの文書を使用しなければならないが、改正後はネットワーク上で行うことが可能となる。

会社の成立、経営の柔軟性を高める。

現行法の下では、株式会社の董事は3名以上でなければならないため、実務上、適切な董事候補者を見つけられなかった場合、従業員に董事を務めさせるか、または有限会社の成立へと変更するケースがあった。改正後はこの制限が廃止される。このほか、現在は董事長にのみ董事会の招集の権利があるが、改正後は董事長のほか過半数の董事による董事会の招集が可能となる。

閉鎖的株式会社に関する規定の適用範囲を拡大させる。

会社法は15年に「閉鎖的株式会社」の章節を新たに追加し、閉鎖的株式会社であれば現金、財産、技術、労務または信用をもって出資することができ、定款により株主によるその株式の譲渡を制限することができ、また、否決権など特殊権利付特別株を発行することができることなどが規定された。改正後、この閉鎖的株式会社の規定は一般的な株式会社にも適用されるようになる。

株主権益保障の保障を高める。

現行法の下では、会社の株主は株主会を開催する必要があると判断した場合、董事会に対し招集するよう要求するか、または主管機関の許可を取得した後に自ら招集するしかない。改正後は50%以上の株式を保有する株主は、自ら株主会を招集することができるようになる。

経済部によれば、本年中にまず一部の改正を完了させる予定である。その際には、各社の定款または社内規則について大幅な修正を行う必要がある可能性があるため、特にご注意いただきたい。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は、当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修