第126回 台湾の行政機関〜その2
皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。
最近、ふと気付いたことがあります。スーパーや果物屋さんに行ったときに、ドリアンが置いてあるのに、「あの強烈な香りがしないぞ!!」ということです。皆さまもご存じだと思いますが、ドリアンは果物の王様と呼ばれる、一部の人には大変人気の高い果物ですが、強烈な臭いを発することで有名なんです(ホテルへの持ち込みが禁止されているというような話も昔、耳にしたことがあります)。もしかすると、品種改良によって、味はそのままに、強烈な臭いを抑制したドリアンができているのかもしれないですね〜。果物類などの品種改良は盛んに行われているようで、少し前に皮まで食べられるブドウ(色は緑色でした)を食べた際には、その爽やかな甘さと食感の素晴らしさに感動した記憶があります。科学の進歩はすごいですよね〜。
日本の中央省庁で例えると
今週は、先週に引き続き、台湾の行政機関について取り上げます。
行政機関がいろいろあるのは理解していても、いざ、「行政機関としてどのような組織があるのか」と言われると、なかなか答えづらいと思います。仮に日本の中央省庁を挙げてみてと言われても、なかなか難しくないですか?私も全てを挙げることはできないと思います(笑)。ましてや台湾の行政機関など何があるのか分かりませんので、あらためて確認してみました。すると、行政院組織法という法律に定めがあり、日本の省に当たる台湾の部が、
「①内政部②外交部③国防部④財政部⑤教育部⑥法務部⑦経済及びエネルギー部⑧交通及び建設部⑨労働部⑩農業部⑪衛生福利部⑫環境資源部⑬文化部⑭科学技術部」
と列挙されていました。
それぞれ、日本の中央省庁と対比してみますと、分かりやすそうな所から言えば、②外交部は外務省、③国防部は防衛省、④財政部は財務省、⑤教育部は文部科学省、⑥法務部は法務省、⑦経済及びエネルギー部は経済産業省、⑧交通及び建設部は国土交通省、⑨労働部は厚生労働省、⑩農業部は農林水産省、⑪衛生福利部は厚生労働省、⑫環境資源部は環境省、⑭科学技術部は文部科学省に相当するという感じでしょうかね。
若干、分かりにくい①内政部は、広く、台湾内の行政に関わる部であるということでしょうから、日本の内閣府に当たるように思われます。具体的な担当事務はそれぞれの部ごとに組織法が制定されており、内政部については内政部組織法にて規律されています。同法によれば、内政部が全国の警察の行政事務を取りまとめることになっておりますので、日本の国家公安委員会(警察庁を管理する組織)の役割も台湾では内政部が担っているようです。内政部はその他、消防行政や建築研究、児童福利業務、出入国管理や移民関連、兵役関連などなど多岐に渡る行政事務を担当していることが、同法から分かりました。
それから、⑬文化部は、文化部組織法によれば、博物館関係や映画、放送、テレビなどの産業の計画、奨励、文化人材の育成などを担っており、日本の省庁では、文部科学省や文化庁にかぶる感じだと思います。
上記のように検討してみますと、台湾の行政機関の区分は細かい違いこそあれ、大枠で見れば日本のものとそれほど違いはないといえるかもしれませんね〜。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)
京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。