第199回 独立董事の再任について

7月28日、金融監督管理委員会(金管会)は「公開発行会社の会計監査委員会の職権行使に関する規則」、「公開発行会社の董事会の議事に関する規則」、「公開発行会社の独立董事の設置および遵守しなければならない事項に関する規則」の一部条文の改正を公布し、即日発効した。

金管会は改正の趣旨について、独立董事に専門的な監督機能を発揮させ、董事会の職能を強化するとともに、実務上のニーズにマッチさせ、管理を強化することを目的としていると説明している。

歴任は理由説明

主な改正点は以下の通りである。

(1)独立董事の独立性と経験の度合いに配慮するために、海外の関連法令を参考に「公開発行会社の独立董事の設置および遵守しなければならない事項に関する規則」第5条が改正され、公開発行会社において独立董事を3期以上連続して務めている者を引き続き独立董事に指名する場合、指名された者の審査結果を公告する際、その者を引き続き指名して独立董事を務めさせる理由を公告し、かつ株主総会において選任する際に前記の理由を株主に説明しなければならないこととした。

(2)董事会の運営への独立董事の関与の強化に関して、独立董事の職権を明確にするとともに、董事会の運営への独立董事の関与をさらに強化するため、「公開発行会社の董事会の議事に関する規則」第7条で、会社が独立董事を置く場合には、少なくとも1人の独立董事が董事会に自ら出席しなければならない旨を明文で規定し、これにより、会社の運営に対する独立董事の理解度が深まるようにした。

また、同条第1項の董事会の決議を経なければならない事項について、独立董事の全員が董事会に出席しなければならず、独立董事が自ら出席することができない場合には、他の独立董事に委任して代理で出席させなければならないとした。

(3)会計監査委員会は会社の関係部門の経理スタッフ、内部会計監査スタッフ、会計士、法律顧問またはその他の者に対し、会計監査委員会議への出席を依頼することができるが、会計監査委員会が討論および表決を行うに際し、会社の関係部門の経理スタッフ、内部会計監査スタッフ、会計士、法律顧問などで会計監査委員会議へ出席した者は離席しなければならないものとし、これにより、コーポレートガバナンスを強化し、また、これらの出席者が会計監査委員会の討論および表決に影響を及ぼすことがないようにした。

同時に、同会議の透明度を確保するため、「公開発行会社の会計監査委員会の職権行使に関する規則」第10条の1では、会議の全進行を録音または録画により証拠として保存し、少なくとも5年間保存しなければならず、議決事項に関する訴訟が発生した場合には訴訟が終結するまで保存しなければならないこと、さらに、議事録については利害関係を有するメンバーの氏名、利害関係の重要な内容に関する説明、そのメンバーが忌避すべきまたは忌避しない理由および忌避の状況を詳細かつ確実に記載しなければならないこととなった。


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執筆者紹介

弁護士 尾上 由紀

早稲田大学法学部卒業。2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。