第34回 台湾結婚事情〜儀式について
皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。
先日、初めて台湾ゴルフ倶楽部(「老淡水」と言った方が分かりやすいかもしれません)でゴルフしてきました。自慢できるようなスコアではなかったですが、特徴あるコースに上手な同伴者、しっかりしたキャディーに恵まれ、とても楽しい時間を過ごせました。古くからあるゴルフ場だとは聞いていたのですが、スタート小屋近くに、沿革が説明されており、なんと1919年の開場とわかりました。1919年といえば、歴史の授業で習った第1次世界大戦後のヴェルサイユ条約の年ですよね〜(笑)。
すごい歴史です。歴史があるだけあって、台湾ゴルフ倶楽部のホームページを見ていたら、ゴルフ界のレジェンドであるウォルター・へーゲンや赤星四郎が1934年に視察に訪れたときの写真なども掲載されていました(私も名前を聞いたことがある程度ですが、伝説的な方々であるのは確かだと思います)。
さて、今回と次回は台湾結婚事情と題して、日本との違いを紹介してみたいと思います。初回の本日は、台湾伝統の結婚の際の儀式について、「びっくり」なことがあるのを知ったので、いくつか紹介してみたいと思います。
台湾の伝統では、結婚式当日に、新郎が新婦の家まで新婦を迎えに行き、結婚の誓いをするのですが(「迎娶」というようです)、新郎が新婦を迎えに行く時間(その他、新郎宅へ移動するための出発時間なども)は、占い師によって告げられた時間となります。占い師が結婚のような節目のイベントに関わっていることが面白いですね〜。ちなみに、占い師に、新郎と新婦の生年月日(旧暦)と誕生した時間を伝えて占ってもらうと同僚から聞きました。日本の四柱推命の源流?だかなんだかの占いのようです。
続いて紹介するユニークな行為ですが、新郎が新婦の家まで迎えに行った後、新郎の家まで移動する間、「米篩」という直径70センチ位の「ざる」のようなもので、新婦の頭上を隠すというものがあります。この行為には、「新婦を神様に見られないように隠す」という意味があるようです。もっとも、この「米篩」は結婚後、使い道がないことや、地域の習慣によって、黒い傘を代用しているケースが多くなっていると台湾人の同僚から聞きました。
その他、新婦の家を出発する際に、新婦が扇子を投げ捨てたり(新婦の過去の悪い習慣を捨てる意味があるらしい)、新婦の新郎宅への出発を見送りつつ、新婦の家族、親戚が水や米をまいたり(新婦が実家に戻ってこないように、新婦が嫁いだ家で食べ物に困らないようにという意味があるらしい)等など様々な行為があるそうです。
新婦が新郎の家に着いてからも、家の中に入る前に、新婦が火鉢をまたいで瓦を踏み割る(お祓いや身を潔白にする意味があるらしい)なんてことまでやるらしく、ほんとうに台湾の結婚の際の儀式は大変そうです。
このように伝統に従った儀式を行うのを敬遠して、披露宴だけ行うというカップルも最近、増えているようですが、気持ちはわからないではないですね〜。ただ、このような伝統スタイルも貴重な文化だと思うので、機会があれば、ぜひ見てみたいものです。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)
京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。