第65回 飲酒はいつから大丈夫?

皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

最近の台湾のテレビを見て、「思わず笑った」ニュースが、「台湾の国民的グループの五月天のメンバーの一人と、民進党の蔡英文主席がとても似ている」というニュースです。五月天のメンバーをアニメーション化しているミュージッククリップがあり、そのメンバーのアニメ版の顔に眼鏡をかけると確かに蔡英文主席にそっくりなんですよね〜(爆)。種を明かせば、五月天のそのメンバーの髪型が蔡英文主席の髪型と似ているからというだけなのですが、このようなニュースをわざわざ取り上げて、該当インタビューで一般市民の反応まで撮影して放送しており、その点にも笑っちゃいました。現在の台湾での五月天と蔡英文主席の人気の高さから、ニュースになり得たのかもしれませんね〜。

さて、本日は、台湾において何歳から飲酒や喫煙が法律上、認められるのか興味があったので調べてみました。
日本では、未成年飲酒禁止法、未成年喫煙禁止法という法律で未成年者の飲酒、喫煙が禁じられており、民法において「年齢二十歳をもって、成年とする。」との定めがありますので、法律上は原則として二十歳にならないと飲酒や喫煙が許されません。最近、成年に達する年齢を引き下げるという議論もありますが、今のところは二十歳が基準になっています。

これに対して、台湾では、児童及び少年の福利権益保障法(中文では、「兒童及少年福利與權益保障法」)という法律において、「児童及び少年」は18歳未満の人を指すとされ、「児童及び少年」が行ってはいけない行為として、飲酒、喫煙が規定されています。よって、台湾では18歳に達すれば飲酒、喫煙が法律上、可能になるといえます。台湾の方が、日本より早く飲酒、喫煙できるんですね〜。

この児童及び少年の福利権益保障法においては、「児童及び少年」が行ってはいけない行為を飲酒、喫煙以外に、ビンロウをかむことや心身健康に有害な暴力やわいせつ、賭博に関わる出版物を見ることなどが挙げられています。阿佐田哲也の麻雀放浪記などは台湾の高校生が読むことは禁じられているってことですかね〜。

このほかに同法では、「児童及び少年」が上記の行為などを行わないように禁じることが父母にも義務として課されています。同法については、最近、「児童及び少年に長時間モバイル端末を使用させた父母等にも罰金を課す」という改正が立法院で可決されたというニュースを見ました。

もちろん、あまり小さいうちから長時間モバイル端末を使用するのは子どもの成長にマイナスの影響を与える可能性はあるのでしょうが、法律にまでしてしまうところは日本ではありえない気がします。日本では、「法は家庭に入らず」という考え方があり、道徳とか躾の問題についてまで法で規制することは比較的少ないのが実情だと思います。台湾の親からすれば、子どもを叱るときに「法律で禁止されているのよ!!」という言い方で叱りやすいということでもあるんでしょうかね〜??


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。