第69回 保証書について
皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。
旧正月も過ぎ、一気に暖かくなるかと思えば、大陸の寒気団はまだまだ台湾に影響を及ぼすようで寒さを感じる日も少なくありません。日本では、「暑さ寒さも彼岸まで」と言うように、3月の春分の時期に季節の変わり目があり、待ち遠しい春が来るというイメージですが、台湾では冬が終わるといきなり夏になるのかもしれませんね(笑)。
しかし、今年の台湾の冬は、雨が少ないようですね〜。台北にいると、そこそこ雨は降っていると感じますが、台湾全体で見れば水不足は深刻なようで、石門ダムも過去最低の水位とのこと。ある程度まとまった雨が降って水不足が解消されることを祈るばかりです。そうそう、男性が注意しなくてはならない「社会の窓が開いている」状態のことを、台湾では「石門ダムの扉が閉じていない」っていうらしいですよ。何か豪快なイメージですよねっ(笑)。
さて、本日は、保証書について取り上げてみます。保証書とは、製造者(メーカー)が製品の品質について保証することを示した書面で、多くの場合、一定期間内に通常の利用範囲内で故障や品質異常等が判明した時に無料で補修する旨の表示がなされています。
日本においては、家電製品などで慣習上、1年間の無償修理期間などの保証があるものの、保証期間自体は法律上、要求されるものではなく、保証書についても製品と一緒に消費者に渡される必要もありません。一方で製造物責任や民法上の瑕疵担保責任は、商品に欠陥や瑕疵があれば、時効などが成立しない限り、保証書の有無にかかわらず発生しますので、その場合、製造者は損害賠償責任などを負う必要があります 。
一方、台湾ですが、日本と若干異なります。消費者保護法において、「企業経営者が消費者に対し商品又はサービスの品質を保証する場合、自主的に書面の保証書を提供しなければならない。」との規定があり、会社などが消費者に対し、商品やサービスの品質を自主的に保証する場合には保証書の提供が必要とされています。「保証をするかどうかは任せるけれど保証するのであれば、保証書は消費者に提供してください」という規定のされ方をしているんですね〜。
そして、同法では、保証書を提供する場合における必要的記載事項を規定しており、「①商品又はサービスの名称、種類、数量、製造番号あるいはロット番号がある場合には、その製造番号あるいはロット番号②保証の内容③保証期間及びその起算方法④製造業者の名称、住所⑤取次販売業者により販売される場合には、取次販売業者の名称、住所⑥取引の期日は、保証書に記載しなければならない」とされています。
消費者目線で考えれば、保証のある会社の製品を購入したいでしょうから、多くの会社は保証を行い、ご紹介した6つの内容を保証書に記載することになるのでしょう。
もし、皆様の会社の製品の保証書に、これら6つの内容が記載されていない場合、消費者保護法違反ということになります。当該違反については、主管の政府機関から期限を定めて適切に記載するように指導が入ったのにも関わらず放置してしまった場合の罰則規定があり、具体的には2万元以上20万元以下の罰金に処せられる可能性がありますので、指導を受けた場合は迅速に対処するようにしてくださいね〜。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)
京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。