第105回 教育に関する規定~その2

皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。

先週のことになりますが、夏のような暑さが戻ってきて、ニュースによれば台北で11月としては過去最高気温の記録を更新したとのことです(33度を超えたらしいですね)。一方、聞くところによると北京は降雪の影響で飛行機の欠航が相次いでいるとのことですので、台湾の暖かさはありがたい限りです。このような台湾の状況について、「秋老虎」(秋口の残暑)という言葉を使って形容するようです。中国大陸でもこのような言葉があるのか私は知りませんが、なかなか面白い表現ですよね~。夏を過ぎてもなおベテランのトラが猛威を振るっている感じがイメージできます。

最近は「異常気象」が異常でなくよく発生しますので、「冬老虎」が12月や1月に出てきたりするかもしれませんね(笑)。

さて今週は、先週に引き続き、教育に関する規定における日本、台湾の違いなどを紹介いたします。

台湾は小学生の飛び級あり

台湾の国民教育法を見ていて、まず面白い規定があるのに気付いたのですが、台湾の小学校には飛び級の制度があります。「授けられた資質が特に優れている国民小学校の学生は、その修業年限を短縮することができる。ただし、1年限りとする」という規定があり、実際に優秀な子どもの中には、飛び級で中学校に進学する人もまれにいると同僚に聞きました。日本では17歳の人が一部の大学に入学することが認められるようになっているようですが、小学校での飛び級は法的に認められていません。

実際、優秀な頭脳を持った小学生なら大学の入学試験に合格できるような人もいるのでしょうが、日本、台湾ともにそのような飛び級は制度として認めていません。一定の社会性を集団生活の中で身に付けてほしいという配慮なのかもしれませんね。ただ、特に優秀な子どもなら、「どんどん高等教育を受けさせるべき」という考え方もあるでしょうから、議論が分かれるところだと思います。

1クラスの人数は日本が多い

このほか、1クラスの人数についても日本と台湾では違いがあります。台湾では、国民小学校で1クラス29人、国民中学校で1クラス30人とされていますが、日本の公立の小中学校は1クラス40人、小学校1年生のみ35人とされています(「公立義務教育諸学校の学級編制および教職員定数の標準に関する法律」という長い名称の法律が根拠規定です)。日本は、台湾に比べるとまだまだ1クラスの人数が多いといえますね。

驚異的な台湾の高校・大学進学率

今回、コラムを執筆するに当たり、教育関連のデータを同僚に調べてもらって驚いたことがあります。日本は高校進学率が高く、大学全入時代とか言われたりして、高校、大学に進学する割合が非常に高い国だと思っていたのですが、なんと台湾は日本以上の進学率を誇っています。教育部の統計によれば、台湾の高校進学率はなんと99.52%!!ほとんど全員が高校に進むんですね。日本の高校進学率が97%強らしい(文部科学省のホームページ参照)ので、まあ大きな差はないといえばないのかもしれませんが、台湾の進学率がここまで高いとは思いませんでした。

ちなみに、台湾の高校生の大学への進学率に至っては、普通科(総合高校含む)の学生の場合、95%を超えていました(日本は6割未満のようです)。この進学率は驚異的といってもいいんじゃないですかね~。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。