最終回 パラリーガルについて
皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の佐田友です。
5月に入り、すっかり夏が来たような暑い日もあれば、半袖では寒いくらい涼しい日もあり、体調維持が難しい時期と思いますが、皆さまは元気に過ごされていますでしょうか。今年は不作だというマンゴーも一応は出回り始め、私も妻と先週末にマンゴーかき氷をいただきました。180台湾元と少し高めな感じでしたが、とてもおいしいマンゴーでよかったです(笑)。話は変わり、皆さまに読んでいただいておりましたこのコラムですが、諸事情がございまして本日で最終回となります。この連載は2013年の秋から始まり、ほぼ毎週の掲載で、本日で第127回を数えます。なんとか続けてこられたのは、お会いしたワイズニュースの読者の方から、「読んでますよ〜!!」という暖かい激励のお言葉をいただけたからだと思っております。本当にありがとうございました。私自身が退職するとか、日本に戻るとかではなく、台北の黒田日本外国法事務弁護士事務所で仕事は続けますので、これからも引き続き、よろしくお願い申し上げます。
パラリーガルに感謝
このコラムを続けてこられた他の大きな要因として、私の同僚のサポートがあります。同僚の台湾人弁護士は、多くの仕事を抱えながら、台湾法や台湾人の考え方について私の疑問に対し的確なコメントをしてくれました。
このほか、台湾人弁護士ではないのですが、いろいろな関連調査を手伝ってくれた存在として、感謝してもし切れないのがパラリーガルの方なんです。
「パラリーガルって何?」と思われる方もおられるかもしれません。最近は日本のテレビドラマで弁護士を主役にしたドラマが結構あって、そのようなドラマを見られたことのある方はご存じかもしれませんが、法律について一定の専門知識を有し、弁護士の職務をサポートしてくれる、弁護士にとっては大変ありがたい存在なんですね〜。
ただ、日本では、パラリーガルという資格が正式にあるわけではなく、法律事務所に所属するアシスタントとして、弁護士をサポートするにとどまります。以前は、パラリーガルとして法律事務所に勤務しながら、司法試験の合格を目指し努力する方が結構おられたらしいです(今でもおられるかもしれません……)
台湾には「弁護士補佐証」
台湾ではパラリーガルがどのような位置付けか知らなかったのですが、たまたま最近、弊所のパラリーガルの「弁護士補佐証」(中国語では「律師助理證」)を業務の過程で目にすることがありました。そこで私は「おっ、台湾では日本と違ってパラリーガルの資格があるのか」と思って、今回、本人に確認してみたんです。
ところが、実は、この証明書、申請しさえすれば特に資格や受験の必要もなく取得できるとのことでした。日本では、このような「弁護士補佐証」のような証明書を見たことがないので、存在していないんじゃないですかね。ちなみに台湾では、「弁護士補佐証」はパラリーガルが訴訟記録を閲覧したり、弁護士と一緒に裁判所へ同行するために必要とのことです。台湾の「弁護士記録閲覧要点」という規定に根拠があり、「弁護士はパラリーガルと一緒にコピー等を行うことができるが、パラリーガルは弁護士補佐証を提示し、記録閲覧登記簿上に姓名を記載しなければならない」と定められています。
最後まで拙い文章を読んでいただきまして、感謝申し上げます。またどこかでお会いした際には、気軽にお声掛けくださいね〜!!
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)
京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。