化粧品広告の適法性の認定基準について

化粧品広告の適法性の認定基準について、今年(2019)1月19日、衛生福利部食品薬物管理署が、化粧品衛生安全管理法に関して、「化粧品の表示・宣伝・広告における虚偽的、誇張的な言及または医薬品的な効能への言及に関する認定準則」草案(以下「本草案」という)を公布した。

本草案の重要な内容は以下のとおりである。

第3条:

「本法(化粧品衛生安全管理法)第10条第1項の化粧品の表示、宣伝または広告について、その記載内容が次の事由のいずれかに該当する場合、虚偽的または誇張的な言及があるものと認定する。

  1. 事実と合致していない。
  2. 証拠がない、また証拠が証拠とするのに不十分である。
  3. 本法第3条の化粧品の定義、種類および範囲を逸脱している。
  4. 本草案附属書類一に記載される、生理機能に影響を及ぼすことまたは身体構造を変えることに言及する用語がある。」

第4条:

「化粧品の表示、宣伝または広告の内容に、その種類および品目の範囲または成分に応じて、本草案附属書類二に例示して記載される、通常使用することのできる用語を使用する場合、または本草案附属書類三に例示して記載され、成分の生理機能に関する用語を使用する場合、虚偽的または誇張的な言及があるものと認定しない。」

第5条:

「本法第10条第2項の化粧品の表示、宣伝または広告について、その記載内容が次の事由のいずれかに該当する場合、医薬品的な効能への言及があるものと認定する。

1、疾病、疾病症候群もしくは症状を予防、軽減、診断もしくは治療すること、または本草案附属書類四に記載されるようなその他の医薬品的な効能に言及する用語がある。

2、薬品または医療機器の効能または同等の意義に言及する用語がある。」

なお、上記第3条の「本草案附属書類一」には、「やせる、体重を減らす」など、34種類の使用禁止用語が規定されている。上記第4条の「本草案附属書類二」には、「余分な油脂を除去する、皮脂を抑える」など、数百個の使用可能用語が規定されている。上記第4条の「本草案附属書類三」には、フッ化物を含む練り歯みがき粉について「虫歯予防を助ける」との標榜をすることができるなど、特定の成分を含む商品について使用することのできる特定の用語が規定されている。

上記第5条の「本草案附属書類四」には、「除毛、脱毛」など、医薬品的効能に言及する用語が規定されている。

本草案は2019年5月に施行される予定であり、違反した業者は情状の重さに応じて数万台湾元~500万台湾元の過料に処せられる。

弊所では日本の化粧品業者、食品業者のために広告内容の事前チェックを行うことも多いが、本草案が施行されれば、より慎重なチェックが必要になると思われる。広告内容には充分な事前チェックをおすすめしたい。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修