第263回 虚偽広告通報に対する報奨金制度
今年4月10日、化粧品衛生管理条例の改正案が立法院で可決され、法律名が「化粧品衛生安全管理法」と改められました。新法の施行によって、業者は製品の供給、販売、寄贈、陳列または消費者への試用のために提供する前に、製品登録を完了し、製品情報管理記録(product information file)を作成すること、およびその製造場所を優良製造所基準(GMP)の条件に適合させなければならないことが規定されました。
新法ではまた、過料額の大幅な引き上げ、違反化粧品広告に対する処罰強化とともに、違反の情状が重い業者に対して訂正広告の掲載と製品の回収を求めています。なお、新法では、薬用の練り歯磨きや洗口液も化粧品管理の対象に組み込んでおり、注目に値します。
来年5月に通報奨励制度
今年11月9日、主管機関である衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)が「化粧品衛生安全案件摘発奨励弁法」の草案を作成すると予告しました。事実と異なる化粧品広告や、治療効果の表示が通報によって摘発された場合、通報した消費者は過料の5%の報奨金、違法事業主を通報した従業員は過料の10%の報奨金、最高で50万台湾元(約180万円)を得られると定めるものです。2019年5月からの施行が見込まれます。
摘発増加に期待
TFDAが昨年受理した化粧品に関する通報事案は3,000件以上で、事実と異なる広告、治療効果の表示によって消費者に誤認を与える広告の事案が最も多くなっています。このため、消費者に報奨金を与える制度が確立すれば、摘発を受ける事案は間違いなく大幅に増えると思われます。
台湾政府は消費者保護を目的に、広告の使用文言への規制を強めています。虚偽不実の疑い、または他人を誤認に導く疑いは、いかなるものでもあってはならならないため、広告を作成する前には、処罰を受けるリスクを軽減するため、広告内容について現地の弁護士に相談することをお勧めします。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。