第266回 クーリングオフ制度について

台湾の消費者保護法には、クーリングオフ(一定期間内であれば、消費者側から無条件、かつ一方的に契約を解除できる制度)に関する規定があり、通信販売および訪問販売がその対象とされています。通信販売は日本法ではクーリングオフの対象とされていませんが、台湾法ではその対象とされていますので注意が必要です。

クーリングオフの期限と方法

通信販売または訪問販売で消費者は、商品を受け取り、またはサービスを受けた後、7日以内であれば、商品返却し、または書面での通知によってクーリングオフをすることができます。その際、理由の説明も、いかなる費用または対価の負担も必要ありません(消費者保護法第19条第1項)。そして、消費者は、商品の受け取り、またはサービスを受ける前でも、同様に書面での通知によりクーリングオフが可能です(同法施行細則第18条)。

また、消費者が商品を受け取り、またはサービスを受ける時に、企業経営者がクーリングオフに関する情報を提供していない場合、同情報を提供した次の日から起算して7日以内であれば、消費者はクーリングオフが可能です(同法第19条第3項本文)。ただし、この場合でも、商品を受け取った、またはサービスを受けた後7日目から起算して4カ月を過ぎた場合はクーリングオフができません(同項但書)。

なお、消費者が商品を使用した場合には、原則としてクーリングオフが認められませんが、商品を検査する必要があり、または消費者に帰責できない事由により、その受け取った商品を棄損、滅失または変更した場合であれば、クーリングオフが可能です(同法施行細則第17条)。

商品の引き取りと代金の返還

消費者が書面での通知により契約を解除する場合、当事者が別に個別協議を行った場合を除き、企業経営者は、通知を受け取った日の翌日から起算して15日以内に、商品を交付した場所または約定した場所で商品を引き取らなければなりません(同法第19条の2第1項)。

そして企業経営者は、商品を引き取り、消費者からの商品の返却またはサービス契約を解除する通知を受け取った日の翌日から起算して15日以内に、消費者が支払った対価を返還しなければなりません(同条第2項)。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。