第365回 健康食品許可の取得

 食品を「健康食品」と表示し保健効果を有すると標榜(ひょうぼう)して台湾で販売する場合、衛生福利部(衛福部)の健康食品製造・輸入検査登録許可証(以下「許可」と言います)を取得することが必須となります。

 健康食品管理法によると、許可の申請には「個別審査」および「規格標準審査」の2つのルートがあります。

個別審査について

 申請者は、製造工程の品質管理および各種実験または科学的検証の資料を添えて衛福部に申請しなければならず、衛福部健康食品審議小組(部会)委員がその安全性に懸念がないことおよび科学的証拠の効果性を審査・評価し、合格となって初めて健康食品許可証を取得します。

 標榜を許される保健効果の範囲は、個別の製品で提示した科学的検証の結果によります。

規格標準審査について

 科学的に保健効果を有することが既に相当程度確実に知られている成分について、規格標準による審査を認め、衛福部が規格標準を認める品目およびその推奨摂取量を評価するに当たっては、

  1. 伝統的に長期にわたり飲食に供された経験において安全上懸念がないこと
  2. 効果の機序が明確であること
  3. 有効成分が明確であること
  4. 有効成分の分析方法が既に確立されていること

という4つの要件があります。

 申請者は、製品が衛福部公告の健康食品の規格標準に適合していることなどの検査報告書を提供すれば、保健効果の評価試験および安全性試験は不要です。

 なお、目下、公告されている健康食品の規格標準は「魚油」と「紅麹」の2つのみです。

 台湾で食品につき、許可を取得せずに健康食品であると標榜しまたは健康食品の保健効果を有すると標榜した場合、健康食品管理法第6条、第16条第2項、第21条により、行為者には、主管機関に製造、調合、加工、販売、陳列の一時停止を命じられるか、または司法機関に3年以下の懲役を科され100万台湾元(約370万円)以下の罰金を併科されるリスクがあります。

 台湾域内において健康食品を製造、輸入、販売する場合、必ず上記規定に留意することが重要です。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。