第426回 商品表示法の改正

 2022年5月3日、立法院において、商品表示法(中国語:商品標示法)の改正案が可決されました。商品表示法は、食品、医療機器、化粧品など特別な規制がある商品以外の一般的な商品を広く対象とする法律です。

 今回の改正は、近年の科学技術の発展やインターネットショッピングが消費者の主要な購買方法の一つになり、それに伴い電子表示方法が消費者の日常生活に溶け込んでいることを考慮したものです。現行の商品表示をさらに完全なものとするため、グローバルスタンダード、消費者保護と企業経営効率の調和に基づき、同法の条文が全体的に改正されました。

 今回の改正の主な点は以下の通りです。なお、改正法は、総統により公布されてから1年後に施行される予定です。

1、グローバルスタンダードへの対応

(1)現行法では、商品の製造「日」まで記載する必要がありますが、改正法では、国際的な慣例に合わせ、「年月」までの表示でよいとされました。ただし、期限性がある商品については、現行法と同様に、製造日および有効期限を「日」まで表示する必要があります。
(2)一部の表示すべき事項について、国際慣例方法で表示し、または主管機関の公告を経た後、英語もしくはその他の外国語のみ表示することが可能とされました。

2、商品属性に配慮した表示の弾力化

(1)業界の需要に沿うよう、主管機関により公告された特定の類型の商品については、電子表示方法を採用することができるとされました。
(2)商品の特性や実務慣例の表示方法がある場合を考慮し、主管機関は、特定の商品について、商品表示法に基づく表示を免除することを公告できるとされました。

3、検査対象の拡大

 現行法では、主管機関による抜き打ち検査の対象は、販売業者のみでしたが、改正法では、商品表示について法律違反の恐れがある場合、主管機関は、製造業者、輸入業者、その他商品の製造・保存場所などを検査できるとされました。
 また、主管機関は、インターネットプラットフォーム業者に対し、掲載者、販売業者または購入者などの資料を提供するよう命じることができるとされました。

4、即時処罰の新設

 現行法では、主管機関は、商品表示法に違反する商品を販売している業者が通知・命令に従うことを拒否した場合に初めて処罰することが可能とされていますが、改正法では、情状が重大な場合、または商品が身体もしくは健康に対して直ちに危害を及ぼす場合には、通知・命令を経ずに処罰を科すことが可能とされました。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。