第489回 フランチャイズ事業者の不公正な行為

公平交易委員会(公正取引委員会に相当)は、2023年8月30日、食品会社がフランチャイズ契約を締結する前に十分かつ完全な重要情報の提供を怠り、加盟店の商標権使用の権利内容について欺罔、誤導または隠匿し、相手を錯誤に陥れる方法で加盟店を募集した行為は、公平交易法(公正取引法)第25条に違反すると認定し、15万台湾元(約70万円)の過料に処すことを決定しました。

公平交易法で規制

日本と同様に台湾では、フランチャイズ事業を規制する特別な法律はありませんが、公平交易法第25条により、取引きに関する不公正な行為は禁止されています。

そして、公平交易委員会は、同条に関し、「公平交易委員会のフランチャイズ事業者の経営行為案件についての処理原則」を定め、フランチャイズ事業者(加盟店を募集する側)の以下のような行為は、同条の不公正な行為に該当するとしています。

1.フランチャイズ事業者が加盟店を募集する過程において、加盟契約関係の締結またはその準備の10日前または個別案件における合理的な期間もしくは双方の約定期間までに、正当な理由なく、①加盟店運営開始前の各種費用、②加盟店運営期間中の各種費用、③商標権等の知的財産権の使用範囲や条件等、④経営サポートおよび訓練指導の内容と方法、⑤加盟店の所在する営業地域にある同一加盟体系の経営方法または計画、⑥フランチャイズ契約の有効期間における加盟経営関係に対する制限(加盟店は、フランチャイズ事業者から商品を購入しなければならない等)、⑦フランチャイズ契約の変更、終了、解除の条件および処理方法等の重要な情報を提供していない。

2.フランチャイズ契約締結前に、5日以上または個別案件において合理的と認定される契約審査期間を与えていない。

3.フランチャイズ契約締結後30日以内に、加盟店に対し、契約書を交付していない。

処理原則等の規定も

なお、フランチャイズ事業者は、上記原則のほか、公平交易委員会が定めた、全事業者を対象とした処理原則等の規定にも注意する必要があります。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。