第531回 中小企業の定義

中小企業の末端従業員の雇用増加、従業員の昇給を奨励し、また、中小企業が革新的研究等への継続的な投資を促進するため、立法院は2024年7月12日、中小企業発展条例の改正案を最終可決しました。

今回は、どのような企業が「中小企業」に該当するのかについてご紹介いたします。

資本金1億元以下・200人未満

日本では、中小企業基本法第2条第1項において「中小企業」の基準が規定されており、①資本金の額または出資の総額、②従業員数で区分されていますが、業種により、①②の基準がそれぞれ異なります。

例えば、製造業では、資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社または常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人が中小企業に該当するとされていますが、サービス業では、資本金の額または出資の総額が5000万円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人が中小企業に該当します。

また、同条第5項により、おおむね常時使用する従業員の数が20人(卸売業・小売業またはサービス業の場合は5人)以下の事業者は「小規模企業者」に分類されます。

これに対し、台湾では、中小企業発展条例第2条第2項に基づき定められた中小企業認定基準(中国語:中小企業認定標準)の第2条において「中小企業」の基準が規定されていますが、特に業種による区別をしていません。

具体的には、法律に基づき会社登記または商業登記を行い、その資本金の額が1億台湾元(約4億5500万円)以下または経常的に雇用する従業員が200人未満の事業が「中小企業」に該当するとされています。

また、「中小企業」のうち、経常的に雇用する従業員が5人未満の事業は「小規模企業」に該当します。

なお、経常的に雇用する従業員数は、労働部労働者保険局(中国語:労働部労工保険局)が受理した、事業の直近12カ月の平均の月の保険加入者数を基準とします。

「中小企業」に該当する場合、中小企業発展条例等に基づき、融資、課税、政府調達の際に大企業より優遇されます。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。