第536回 取締役の人数の固定数を明定しない場合

会社法第129条第5号では、会社の定款には取締役および監査役の人数および任期を明記しなければならないと定めています。

同法第192条第1項には、通常、会社の取締役会には少なくとも3名の取締役を置かなければならないことが明記されています。

また証券取引法第26条の3第1項では、株式を公開発行する会社には少なくとも5名の取締役を置かなければならないことが定められています。

実務上、選任する取締役・監査役の人数について会社の定款では例えば「5~7名の取締役を置く」というようにその範囲が記載されており、このような記載方法は、「固定数非明定制」と呼ばれています。

「固定数非明定制」を採用する場合、選挙前、以下の注意事項を留意しなければなりません。

選出人数を選出前に明示する

会社法の主管機関である経済部の解釈によりますと、「固定数非明定制」を採用する場合、取締役会は株主総会招集通知書に、当該回の株主総会において選出しなければならない取締役・監査役の人数を明記しなければなりません。

仮に、当該回の株主総会が取締役・監査役の人数を変更する定款の修正に関わるものであっても、選出する取締役・監査役の人数を株主総会の席で臨時動議の方法により修正することはできず、定款の修正完了後に初めて、次回の株主総会で修正後の新しい定款に基づいて選出しそれを適用することが可能となります。

ただし、会社の旧定款で取締役・監査役の人数について固定数を明定している場合については、まず取締役会で取締役・監査役の人数を変更する定款修正提案を可決し、株主総会開催通知書に変更後の取締役・監査役の要選出人数を明記して、その後、株主総会で人数変更に関する定款修正の可決を決議した上で、修正後の新定款における取締役・監査役の人数に基づいて取締役・監査役を選出すれば、問題ありません。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。