第537回 資金洗浄防止法の改正

2024年7月31日、洗銭防制法(日本語:資金洗浄防止法)が改正されました。改正法第6条第1項では、仮想資産サービスまたは第三者支払サービス(以下、「特定サービス」)を提供する事業者または人員(以下、「サービス提供者」)は、主務官庁において、資金洗浄防止・サービス能力に関する登記または登録をしなければ、特定サービスを提供してはならない旨が新たに規定されました。

また、台湾域外のサービス提供者は、台湾の会社法に従い会社または支社の設立登記をし、かつ主務官庁において、資金洗浄防止・サービス能力に関する登記または登録をしなければ、台湾において特定サービスを提供してはならない旨が規定されました。

そして、これらの規定に違反した場合、改正法第6条第4項により、2年以下の有期懲役または拘留に処され、または500万台湾元(約2200万円)以下の罰金が科されもしくは併科されます。さらに、同条第5項により、法人が上記規定に違反した場合、行為者が処罰を受けるほか、法人に5000万元以下の罰金が科されます。

個人の現金携行規定

洗銭防制法は、上記のような事業者や金融機関の義務を主に定めた法律ですが、個人に関係する規定も一部存在します。

改正法第14条では、旅客が出入国の際に、一定の金額の現金や特定の物品を携行する場合の申告義務が定められています。申告の要否について、現在の基準は以下のとおりです。

①総額1万米ドルの価値を超える外貨、香港またはマカオで発行された通貨

②総額2万元を超える人民元現金

③総額10万元を超える台湾元現金

④額面総額が1万米ドルを超える有価証券

⑤総額2万米ドル相当の価値を超える金

⑥総額が50万台湾元相当の価値を超え、かつ私用目的以外のダイヤモンド、宝石、プラチナ

上記基準を超えるにも関わらず未申告の場合、基準を超える部分の現金は没収され、その他の物品の場合は、基準を超える部分の金額を過料として支払わなければならないので、注意が必要です。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。