第549回 小売業個人情報ファイル安全維持管理弁法の施行

2024年11月13日、従来の「総合商品小売業個人情報ファイル安全維持管理弁法」の法規名および一部の内容が改正され、「小売業個人情報ファイル安全維持管理弁法」(以下、「本弁法」といいます)が公布・施行されました。

小売業の適用対象が拡大

従来は、不特定の形式で多種の商品を販売する総合小売業者(例えば、デパート、コンビニ、スーパーマーケットなどを指します)のみが本弁法の適用対象でしたが、今回の改正により、「総合商品」の部分が削除され、小売業全般が本弁法の適用対象とされました。

しかし、主務官庁である経済部の説明によると、中薬小売業、化粧品小売業、西薬小売業、農業販売業、医療器材小売業等の別途管理されている事業者については、本弁法の適用対象外です。

また、本弁法は、実店舗があり、または実店舗とインターネット販売を兼ねている業者が適用対象とされ、インターネット販売のみ行う小売業者はその適用対象外とされました。これは、インターネット販売のみ行う小売業者は、「デジタルエコノミー関連産業個人情報ファイル安全維持管理弁法」という規定により管理されるためであると考えられます。

本弁法第21条第1項により、本弁法が適用される小売業者は、本弁法が施行されてから6カ月以内(2025年5月12日まで)に個人情報ファイル安全維持計画を制定しなければなりません。また、従来の弁法の適用対象である総合商品小売業者は、従来の弁法の施行日から6カ月以内(2024年1月31日まで)に対応しなければなりません。

期限までに同計画を制定していない場合、2万台湾元(約9万円)以上、200万元以下(是正命令に違反した場合、または情状が重大な場合には、15万元以上1500万元以下)の過料が科される可能性があります(個人情報保護法第48条第2項、第3項)。

なお、小売業者以外にも、製造業、卸売業等を対象とした規定が存在します。このため、個人情報を収集している会社は、自社に適用される規定の有無を確認することをお勧めいたします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。