第552回 著しく公正を欠く取引
公平交易法第25条により、同法で具体的に禁止される行為のほか、「著しく公正を欠く」取引などが包括的に禁止されています。
公平交易委員会(公平会、公取委に相当)は、2024年11月27日、フライドチキン店がフランチャイジーとの契約締結前に重要な情報を提供しなかった行為が「著しく公正を欠く」取引に該当すると判断し、同店に50万台湾元(約240万円)の過料を科しました。
「著しく公正を欠く」という表現は抽象的ですが、公平交易委員会によると、同行為の類型は以下のとおりです。
①競争相手を害する目的で競争を妨げる。
例:不当に知的財産権侵害についての警告書を散発する。
②他人の努力の成果を搾取する。
例:真正品を並行輸入し、積極的な行為により、代理商が輸入販売している商品であると誤認させる。
③脅迫や嫌がらせなど不正な方法で取引相手の取引判断を妨害する。
例:消費者の窮迫に乗じ、または痩身・美容サービスを受けている際に販売する。
④市場の優越的な地位を利用する。
例:特許権者がライセンシーに対し、ロイヤリティーとは関係のない機微な情報を提供するよう要求する。
⑤情報の非対称性を利用する。
例:フランチャイザーがフランチャイジーを募集する過程において、相手方に対してフランチャイズの重要な情報を書面で提供せず、または合理的な契約審査期間を与えない。
⑥公正取引法の競争行為制限の規定を補充する。
例:カルテル行為の規定を補充し、政府購買法が適用されない案件の名義貸し入札を制限する。
⑦消費者が合法的な権益を行使するのを妨げる。
例:不動産開発業者が購入者との間でオフプラン物件売買契約を締結後、契約書を交付せず、または返還を要求する。
⑧普通取引約款に不公平な条項を規定する。
例:契約の解釈について紛争が生じた場合、英語を基準とする。
「著しく公正を欠く」に該当するか否かは判断が難しいですが、公平交易委員会がホームページで公表している例や過去の処罰事例を参考にすることができます。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。