第557回 デジタルノマドビザ

台湾のデジタルノマドビザが2025年1月から実施されました。台湾ビザ免除待遇対象国の国民で、かつ、毎月の平均預入金額が1万米ドルに達することを証明する経常的預金残高証明書を提示できる人であれば申請可能であり、最長で6カ月の滞在が可能です。

申請条件にはこのほかに、年齢・収入面の条件、他国でデジタルノマドビザの発給を受けた経験も含まれ、そのうち一つでも満たしていれば申請することができます。以下で詳しく説明いたします。

■申請条件および必要な資料

年齢・収入が申請条件の外国人について、30歳に達している場合は、直近の2年のうちいずれかの年の年収が4万米ドル以上であること、20歳に達しているが30歳未満の場合は、直近の2年のうちいずれかの年の年収が2万米ドル以上であることが必須となります。

申請時に準備しなければならない資料については、少なくとも、①パスポート、②リモートワークの証明資料、③台湾滞在計画に関する説明、④他国でデジタルノマドビザの発給を受けたことの証明書または年収証明書、⑤申請日直前の6カ月間の経常的預金残高証明書、⑥国際的医療保険加入の証明書が必要です。

■申請手続き

申請手続きについては、申請時に台湾外にいる場合には、所在地の台湾の在外公館に申請しなければなりません。申請時に、既にビザ免除等で台湾に入国している場合には、外交部領事事務局に申請することができますが、デジタルノマドビザをスムーズに取得できなかったときは、当初のビザの期限までに出国しなければならないという点に留意する必要があります。

ビザの発給は、政府がその権力を示す表現と見なされており、政府は理由を説明することなく外国人への発給を拒否する権限を有しており、また、納付したビザ申請手数料等は、ビザ発給の有無にかかわらず、ビザの申請者には返還されません。

自身に適したビザをスムーズに取得したいとお考えの場合は、関連の専門家に事前に相談することをお勧めします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。