第161回 台湾における政府調達について
台湾は2009年6月8日に、「世界貿易機関(WTO)政府調達協定(GPA)」に署名し、同年7月15日より正式に同協定締約国・地域となった。同協定は94年4月、モロッコのマラケシュで作成され、96年1月1日に発効した国際条約で、95年12月には日本も締結した。16年現在、40以上の国・地域が締結している。
GPA第3条に基づき、台湾政府は、明記された例外項目を除いて、入札参加を希望するGPA締結国・地域の企業に対して、台湾の入札参加希望者と同等の待遇を与えなければならない。また、政府調達に起因する紛争に際しては、台湾内における解決のための申し立てのほか、GPA第22条に基づき、WTOの紛争解決機関を通して、締約国・地域間で解決のための手続きを取ることができる。
行政院公共工程委員会が提示している政府調達の手続きは次の通りである。
- 政府調達の入札募集は、GPAが適用される場合、中国語と英語で公示を行う
- 各調達機関による入札募集の書類は、原則として中国語による表記のみとする
- 各入札希望者は、入札に関する書類は原則として中国語表記により作成しなければならない。ただし、各調達機関は個別の状況を考慮し、中国語以外の言語で作成された書類の原本を受理し、改めて当該書類の翻訳について公証あるいは認証を受けたものを受理することができる
- 各調達機関は、価格の提示を台湾元のみに制限できる。外国企業は、台湾における営業代理人を通じて、調達を行う機関に対して支払いを請求しなければならない。台湾元以外の貨幣による価格提示の可否については、各調達機関の入札募集書類の記載内容を基準とする
- なお、台湾は他のGPA締約国・地域の政府調達市場へ参入することができる。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
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執筆者紹介
早稲田大学法学部卒業。2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。