第183回 外国投資家による有価証券の借入が可能に
金融監督管理委員会(金管会)は先日、証券会社による有価証券貸借取引の取り扱いへの参入について、参入者の資格・身分が制限されていないことを考慮し、特定の機関投資家に限定せず、台湾域内の機関投資家、ファンドおよび外国機関投資家の全てが参入することができるようにすると示した。
あらゆる有価証券が対象
金管会によれば、2017年3月15日付金管証券字第1060004899号令の規定に従い、外国機関投資家はあらゆる有価証券の借り入れができるようになり、かつ、華僑および外国人証券投資管理規則第21条第2、3号の「保有していない証券を売却してはならない」および「担保を提供してはならない」に関する制限を受けずに、担保として提供することができるようになる。
また、これに伴い証券取引所の貸株システムへの参入資格についても調整を行うとのことである。
また、華僑および外国人証券投資管理規則第14条第1項の規定によれば、海外の華僑および外国人が台湾内の証券に投資する場合、その投下資本金、投資収益、および貸株方式による有価証券売却代金の決済については、為替決済を申請できる。
ただし、このうち、有価証券売却益および株式配当について、為替決済を申請できるのは、既に取得しているものに限定される。
金管会はまた、外国機関投資家が、交渉方式(当事者双方が交渉で取引の条件を決める方式)によって貸借取引における貸手となる場合、借り株人が提供した台湾内の現金担保は当該外国機関投資家が台湾内へ送金した投下資本金または投資収益に該当しないため、為替決済を申請することができないとの見解を示している。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
早稲田大学法学部卒業。2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。